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マルワリード・カシコート連続堰、緊迫
~カマ堰12月初旬に改修を終了予定
シギ地域危機一髪、マルワリードからの分水路に全域が依存~

11月も半ばとなりました。単調な川辺の作業が続きますが、工事そのものは着実に進められています。11月から主力をカシコートに集中、来週から三週間が総力戦となり、その後にカマ堰改修を一気に終結させます。

-- 連続堰とカシコート --

最も難行すると見ていた河道③の架橋(交通路の確保)が始められました!

おっかなびっくりで河道④を回復したのち、河道④⑤間の堰中堰建設、河道③の閉塞を行い、架橋準備が進められています。実は、これが「緑の大地計画」最大の山と見ています。

今夏のシギ取水口の流失で同地域全体がマルワリード用水路に依存するようになった現在、連続堰は更に重要な意義を帯びてきました。単にカシコートだけでなく、マルワリード用水路の水量確保が焦眉の急となり、文字通り両岸住民の死命を制します。

失敗すれば、マルワリード用水路流域は確実に再沙漠化します。勝算は十分ですが、これまでの自然の猛威を考えると、人の思いなど虚しい気がするのも事実です。あとは天が決します。日本から見れば何でもないことのようですが、今夏の洪水と渇水で激しい村落間抗争を見てきた吾々は、一日一日の工事の進展に一喜一憂、総動員態勢で臨んでいます。

昨年の基礎工事で「山を越えた」と見たものの、未曾有の洪水は予測せず、まさか2010年を上回るとは思いませんでした。秋になってカマ堰の致命的な被害が明らかになった時、さすがに呆然、生きるのが億劫になりました。それでもPMS職員や住民の熱意に支えられ、カマ堰に見通しをつけ、ここに最大の挑戦に出ようとしています。

-- カマ堰 --

小グループが残って、砂州先端の埋立てと第二堰の工事を続けています。目下、石材輸送が中心で、蓄積した後に一挙に片づける予定です。

-- シギ堰 --

シギ堰は、洪水によって地盤もろとも消滅しました。従って、吾々の今冬の計画もなくなりました。現在取りうる唯一の方法は、マルワリード用水路の保全を確実に行い、シギ送水路の流量を確保することです。この方針に沿って、同分水路を事実上マルワリード用水路の延長と見なし、整備しています。

-- その他 --

クナデイ村・揚水水車は、実測で一日1350トンまで汲み上げられるようになりました。技術的にまだ改良の余地あり、研究を続けます。

ガンベリ農場では、今年の小麦作付けは21ヘクタール。これまでで最高となります。既に野菜・果物などは完全自給、総植樹数は80万本に近づいています。これについては、次報で詳細をお伝えします。



平成25年11月14日 記

河道③の閉塞と架橋工事。河道③は、旧中洲を低い位置で復元、巨礫を敷いて砂利で覆い、夏期の増水期で河道形成を期待していたもの。幅広く浅い流れが発生し、ほぼ予定通りであった。この架橋による交通路確保と河道②措置が、連続堰造成の山場だ。この一週間で先端を埋めつぶし、橋の基礎工事を間もなく開始。
2013年11月13日

連続堰概念図(2013年完成予定図)

11月に入ってから、突貫工事に近い態勢で一挙に工事が進められた。河道④の改修、架橋、河道③閉塞まで何と2週間、昨年の基礎工事と巨礫の蓄積が大きな支えとなった。
2013年11月13日

ハッジ(メッカ巡礼)から帰ったパチャグル(右)が現場復帰。「大作戦」を目前に、続々と資機材が搬送され、ディラウェル・カーン氏(右から二人目)、ジア先生が確認に来て激励。田舎の貧乏士族の集まりのようになったが、質実。これで良い。最近の動きは、事務所側が活発に現場に繰り出すようになったことで、資機材の準備が極めて迅速、全体の士気が大いに上がっていることだ。
2013年11月12日

閉塞直前の河道③。期待通り幅広く浅い流れで水深約1メートル(低水位期)、河道幅が約60~80メートル。
2013年11月11日

閉塞直後の河道③。 表面の砂礫が洗い流され、巨礫が河床を成している。あの洪水に耐えたのだから、これは残る。
2013年11月12日

架橋は約30メートル四方に頑丈な基礎を打って行われる。来週早々、基礎工事が始まる。構造物直下、1メートル以上の厚さで巨礫層までコンクリートを打って基礎とする。
2013年11月12日

同工事風景。
2013年11月13日

河道④の架橋部。損壊した左翼の一部は、河道③架橋ののち、閉塞して改修する。左翼は厚さ4~5m、幅6~10m以上の巨礫が埋められ、経験的に先ず壊れない。改修は傾斜、流方向の調整が主になる。
2013年11月12日

河道④左翼から眺める。主幹水路右岸は鉄壁。洪水の激流にビクともしなかった。河道⑤、⑥の流れは、河道③の復旧閉塞で自動的に戻った。
2013年11月12日

カシコート取水門、主幹水路右岸の状態。蛇籠壁を鋳型にして水路壁は幅6m、高さ4m、長さ30mにわたって、コンクリート塊で埋められている。全体が岩盤に匹敵する強さで、巨礫層までの基礎。これは長持ちするだろう。
2013年11月12日

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