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連続堰、佳境
カマ堰改修、最終段階
~第三河道の交通路(架橋)の床面コンクリート打設始まる~

今が河川工事のピークです。やっと「クナール河の二大堰」といえる、カマ堰(Ⅰ・Ⅱ)の改修、マルワリード=カシコート連続堰の完成を目前にするに至りました。このところ、朝は暗いうちから一日の工事手順と資機材の調達を確認し、夜は翌日の手順を考えながら眠る毎日です。河のこと以外は殆ど考えません。それで報告が途切れがちですが、ご勘弁願います。

報告内容は単調ですが、相手は生きている河で、様々な工夫が込められています。特に連続堰の成否は、過去10年の努力が水泡に帰すか否かの分かれ道です。説明が分かりにくいかも知れませんが、ご容赦願います。

カマ堰の工事は、10月初旬の計画書通りに運ばれています。河道の再分割、砂州の復旧、流量と流方向の決定、堰の改修が主な内容です。特にカマ第二堰は全壊に近い状態だったので、新設と言えるほど完全に作り直しました。

連続堰の方は、一週間前までに河道③の架橋(約30メートル四方)の基礎を終え、床面の打設作業が始まりました。11月23日に床面鉄筋組を完了、コンクリート打設作業が開始されました。これが成れば、崩壊寸前のマルワリード堰先端に悠々と石材輸送ができ、10年の懸案に終止符を打つことができます。開通を12月初旬とし、中旬には見通しをつけたいと考えています。これは、雨期に入ると濃霧や小雨で泥沼の工事になるからです。

少し長いですが、両堰の進行具合をお知らせします。

興味があれば、10月初旬頃のものと比べてください。

平成25年11月25日 記

復旧直前のカマ第一堰
2013年11月25日

上の写真の拡大。砂州Ⅰの上流端が左岸方向に移動、河道が回復し、河道2の水位が堰より低くなっている。
2013年11月25日

10月2日、工事開始から5日目の写真。さすがに命運が果てたかと思われたが、努力は尽くすもの。河道分割と水位低下に助けられ、ほぼ旧に復しつつある。

現在の砂州先端を同位置から見る。蛇行河道を埋めつぶし、中洲先端を巨礫と籠で覆う。
2013年11月23日

籠は25メートル四方を絨毯のように敷き、互いに連結、表面からの激しい洗掘を避ける。40名の作業員で人海戦術。手作業でたくあん石ほどのものを詰めれば、相当な洪水でも残る。

欠点は、作業員の苦労が見えないことで、ひと夏過ぎると砂礫に覆われて完全に分からなくなる。しかし、自然砂州と巨礫の接合部で最も安定したつなぎ役を果たし、堰を作る際の不可欠の方法となっている。
2013年11月25日

カマ第二堰の工事。以前に捨石工で置かれていた角石は、半分以上が流されて堰は全壊に近かった。今回は丸い巨礫だけを使い、越流幅、越流長を倍増。1.8mの落差を45~50mの斜面で落とす。巨礫は土石流の谷から大量輸送、ダンプカーにして約800台分を使用。
2013年11月23日

交通路が確保できるのは、最初の数十メートルで、あとは掘削機を並べて、巨礫のリレーしかない。熟練は要るが、かなり確実な方法。低水位期に、短期決戦で一挙に終わらせるのがコツ。用水路工事の中で最も重要なのが堰の造成だ。予算も食う。

カマ第二堰は、ほぼ完了。土砂吐きは必ず作る。水位は普通、土砂吐きで操作できる。
2013年11月25日

カマ第二主幹水路。PMSが手掛けたものの中では最大の送水量で、渇水期の現在でも一日50~60万トンを送る。造成後3年を経過、ヤナギの成長で昔からあったような風情。
2013年11月25日

シギ地方を救った分水路。マルワリード用水路の末端からサイフォンをくぐって2㎞を下り、取水口を失ったシギ村落群を潤す。
2013年11月25日

送水量は昼夜を併せて一日10万トン前後が送られる。シギ村落群の三分の二が完全にこの水系に頼る。
2013年11月25日

シギ地域の下流域。かつてシギ用水路は末端まで水が届かなかった。送水量だけでなく、過剰送水が上流側に湿害を起していたからだ。順番制の潅水では、間に合わず、小麦の作付け時期を逸する農家が多かった。今年は全域で播種が行われた。途切れない水の流れは、彼らのあこがれだった。
2013年11月25日

マルワリード=カシコート連続堰の山は、河道③を復旧中洲の中に造成、架橋して交通路を確保、マルワリード堰にアプローチすることだ。基礎工事を終えてから7日間、異例の速さで鉄筋作業を終え、11月23日、コンクリート打設作業が開始された。予定は架橋まであと2週間。
2013年11月25日

人海戦術の打設作業。何しろ広いので、ミキサー車3台を動員、3チーム80名で人海戦術。
2013年11月25日

河道④と河道⑤を分ける「堰中堰」。河道④も、100mを総石張りで作る。
2013年11月25日

河道②。マルワリード堰の先端に相当する。これが最終標的だ。
2013年11月25日

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