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連続堰の第3河道架橋、二週後
カマ堰I・II、第二次改修完工
タプー堰、復旧を開始

現地は初冬ですが、強い日差しで暖がとれ、河辺は今が工事の好機です。洪水と異常低水位(渇水)は日常化してしまいましたが、今年は格別です。カマ堰の改修に足をすくわれて、連続堰とカシコートでなかなか思うような指揮がとれませんでした。

しかし、職員・作業員・事務所、住民一体の態勢で、やっと難局を乗り切ろうとしています。連続堰は第3河道の造成と架橋が今年の山でしたが、二週間後に開通を期待できる状態となりました。11月28日にカマ堰改修に終止符を打ち、カシコートと連続堰に集中しています。これでマルワリード用水路の取水困難が解消すれば、近頃にない大きな出来事になります。

なお、ベスード第二堰のうち、上流部のタンギトゥクチー(約800ヘクタール)は州政府が自ら開始宣言をしたので、しばらく静観します。ベスード第二堰は、上下流二つの場所からなります。このうち、下流側の二本(約1500ヘクタール)をひとつの堰で束ねれば、ベスード郡全域が安定灌漑の恩恵に浴します。来年度の大目標に掲げたいと思います。

カシコート主幹水路の延長は、ふところぐあいを見ながら、年が明けてから、少しづつ進めていきたいと考えています。

いずれにしても、今は「連続堰完工」を目指し、全力投球したいと思います。うまく出来ますと、PMS=ペシャワール会の技術的な金字塔となります。この堰は、ほとんど山田堰と大石堰を合体したような作りになっていて、見れば見るほど似ているのです。意図的に模倣した部分もあれば、結果的にそうしかならなかった部分もあります。この10年、最大の予算を割きながら、夢見てきた大堰です。多くの人々に恩恵を与えることを祈ります。

堰の工事は大規模な割に目立ちませんが、用水路を血管とすれば、血液を送る心臓に相当します。二週後には吉報を届けたいと思います。

河は生きており、この巨大な暴れ川を治めるのは容易ではありませんでした。改めて筑後川で苦労した先人たちを想い、感慨ひとしおです。

なお揚水水車も思った以上の出来で、クナデイ村の一号機は最終的に一日約1500トンを送水中、12町歩を灌漑できました。現在、やや大型の2号機をカンレイ村に設置すべく制作中です。

平成25年11月30日 記

河道③の架橋部の工事。約30m四方の大きな構造物になった。工事用の交通路確保を兼ね、渇水期だけ通れる。夏は水没する。河道④に昨年試験的に設置したが、規模が大きい。現在、たたき部分を造成中。
2013年11月30日

構造物の上流側は、厚く巨礫を敷き詰め、洪水の激流に備える。
2013年11月30日

河道③の河床。洪水を経て巨礫だけが残り、頑丈な床を作っている。自然に造ってもらったので信頼性は高い。河道の長さは約120m。
2013年11月30日

河道②と河道③の合流地点を上流側から眺める。今冬はこの部の処置が最大の焦点になっている。
2013年11月30日

同部を下流側から見る。河道②,③,④の三つの流れが集中するので、工夫が要る所。
2013年11月30日

河道④を上流側から見る。河の中心へ全ての河道が集中しているのが分かる。
2013年11月30日

河道⑤と河道⑥。超低水位にもかかわらず、カシコート取水門で70㎝の水位を保っている。
2013年11月30日

逝く者はかくの如しか。確か一年前も、ほとんど同じことを同じ場所でしていたような気がする。衣装も人も、そして河も変わらない。
2012年12月14日(職員撮影)

河道④は、決壊部に1~2メートル以上の巨礫を詰め、河道③に水を流してから閉塞、コンクリート構造物を改修する。国道を通る人が「何を作っているのか」と不思議そうに眺めてゆく。水上ホテルを作っているという噂を聞いて見に来た者もいた。
2013年11月30日

改修を終えたカマ第二堰。ほとんど新設に近かったが、越流幅120m、越流長50m、落差1.8mを下る。土砂吐きを置くと、水位は更に安定する。
2013年11月27日

土砂吐きを上流側から見る。
2013年11月27日

カマ第一堰を下流側から見る。越流幅200m、越流長30m、落差1.5mを下る。堰体そのものは殆ど無傷だったが、砂州との接合部が大破して河道が変化したのは2010年のマルワリード堰と同じだった。マルワリードは連続堰で、こちらは河道の再分割で切り抜けた。
2013年11月28日

砂州先端の洗掘が今回の最大の原因だった。先端から約50mは巨礫の埋設、籠の敷設で頑丈にして備える。ひと夏を経て再び観察。
2013年11月28日

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