前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ

ベスード護岸1700m地点。今回の夏の洪水では、連続提1700m全体が決壊の危険にさらされた。基礎地盤だけでなく防御される地面がもろい砂質土で、背面から侵入する流水が接合部を洗い、解離性大動脈瘤のように全長で護岸面の剥離を起こそうとしたからだ。特に始点と終点の同部は、危機的だった。応急処置で設置した水制は6基、使用した巨礫はダンプカー1200台分以上、低水位になって改めて慄然。
2013年11月30日

辛うじて惨事を免れたが、石出し水制のツケは河床の低下。直進河道の深掘れは、洪水防御の上で望ましい変化を残したものの、屈曲河道に注ぐ入口部河床が低下し、同河道からの取水(タプー取水口)に困難を来たした。カマ郡側は相対的に河床が高くなり、安全となった。
2013年11月30日

屈曲河道の分岐部の状態。屈曲河道450m下流にタプー堰があり、堰と分岐部の水位差が5~10㎝しかない状態で11月下旬、同堰の水が完全に途切れた。対策は分岐部の堰き上げしかない。しかし下手に行えば河道がますます下がるという難題。
2013年11月30日

同様な事態は昨年にも発生。対策として同地点に人工砂州を造成した。一時的に成功したものの、材料が弱く、今夏の大洪水で完全に消滅、今回はより強力な材料(籠や巨礫)で基礎を作る。しかし、この青息吐息の状態で施工は困難。とりあえず堆積した砂利で堰き上げ用に砂州を造成して送水、カシコート方面の工事が一段落する来年二月に大動員をかける。
2013年12月1日

タプー堰へ向かう流水は、水深十数センチ、流速も毎秒10~15㎝、これでは間尺に合わない。入口部で嵩上げしながら河道幅を大きくとる。
2013年12月1日

一方、小麦の蒔き時は今が最後だ。流域の村々は総動員で浚渫に当り、ひとしずくでも多くの水を招き寄せる。できた堰は立派でも、分流の堰は適切な流量を流す工夫が欠かせない。もっとも今冬は記録的な渇水である。あまり送水量を増せば、夏の洪水に脅えねばならない。
2013年12月1日

やっと注ぎ始めたタプー水路。2011年、護岸裏法のドレーン工を兼ねて作った700mの小溝。耕地と人口が著しく増加したため、これでは間尺に合わなくなってきたが、とりあえず冬小麦なら数百ヘクタール潤せる。雨の多い日本では小麦畑の灌水をあまり考えないが、少雨の現地では死活問題。
2013年12月1日

ベスードしめきり提の現在。著しい河床低下で溢水の危険は遠ざかった。驚くべきは水制間の洗掘。これは初めて見た。水制間は普通土砂が堆積する。水制に沿って深掘れが発生したのは河道の変化による。屈曲河道(写真正面)からの流水が激減して、中心河道から落ちてくる流れを真正面に受けたためだ。
2013年12月1日

河と比べれば、用水路の水は割と楽に料理できる。揚水水車一号機はクリーンヒット。朝倉のものには及ばないが、流水圧を受けるプレートと水路底の溝を工夫すれば、一日1500トンを悠々と送る。水受けをもっと工夫すれば、水面から3メートルの高さは大丈夫だ。現在2号機を製作中。
2013年11月27日

前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ