前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ

ガンベリ開拓、本格的に始動
ナンガラハル州北部全域で小麦豊作の期待

主要河川工事は間一髪で区切りをつけ、ガンベリ沙漠に一同会しました。主な仕事は、排水路整備と畜産のための草地造成が大きな課題となっています。分けても、排水路整備が最大の標的で、規模の大きなものです。

既に調査を終え、4月に情勢が収まるのを待って、大きな動きとなります。安定灌漑は安定排水と一体です。給水路が動脈、排水路が静脈と考えて構いません。これまでも努力が続けられていたのですが、洪水に伴う緊急工事が重なり、遅れに遅れていたのです。また、昨年からマルワリード流域の各地で水稲栽培が盛んとなり、排水路が追いつかなくなったこともあります。

今回は、PMSあげて大目標に掲げています。詳細は縷々報告いたします。

小生は間もなく一時帰国し、政情の鎮静を待って乗り出します。しかし、作業地では報道であるような混乱がある訳ではありません。都市部、とくにカブールが混乱しており、大きな転換点になると皆考えていますが、「4月5日の大統領選でどう転んでも暮らしむきは変わらない、せめて安全であれば誰でもよい」というのがごく普通の考えのようです。ここは部族社会です。対立の海の中で結束を固め、混乱を乗り切ろうとしています。食糧の自給態勢がその要で、マルワリード流域の地縁関係に埋もれるのが最善と考えています。百鬼夜行ですが、毅然として侵さず侵させず、一体感を強め、何とか切り抜けられると考えています。

みなさん、お元気で。

平成26年3月26日 記

大静脈に相当する経路は拡張が技術的に困難、排水量は増すばかりである。来年度中に約3㎞のバイパスを作り、排水可能量を倍増するもの。三つの既存水路と国道を貫通する。細かな所は数年かけてやれる
2014年3月24日

チュクレイ村。現在の主要排水路で大静脈に相当するもの。ガンベリと周辺の灌漑路の水が全て通過し、クナール河に戻る。5年がかりで整備してきたが、追いつかなくなっている。今回は同規模の排水路を別に開削、一挙に長年の懸案を解決するもの
2014年3月24日

主な排水路は至る所で架橋が必要だ。ほぼ一カ月に一ヶ所のペースで仕事が進められる
2014年3月24日

完成直後の架橋。同時に交通路を巡らし、徐々に進められている
2014年3月24日

新開地は砂丘をならし、浸透水の貯留するくぼみを埋める。だが何せ広い。旧防砂林はPMSの育てた植林帯で後方になり、地面の浸潤線が上昇して窪地に水が貯留している。これを根気よく低地へ導いてゆく。目立たぬが雄大な構想
2014年3月24日

用水路が来る以前から、同地は洪水や既存水路からの過剰供給で湿地化していた。二年前に回復したチュクレイ村は排水路整備の恩恵で復活、他地域での範となった
2014年3月24日

マルワリードP区域からの眺め。湿地は一掃され、毎年小麦の豊作が続いている
2014年3月26日

前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ