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ガンベリの楽園から一転してベスード護岸2500m付近、しめきり提の攻防。毎年、補強・改修を強いられるが、労力は年を追うごとに軽くなる。生存を維持 するためには、河との共存が避けられない。花園の基礎には、厳しい自然との折衝がある。人間と異なり、自然は喋ってくれないのが難点。
2014年5月8日

今年から本格的に登場したのが、籠による護岸だ。水制や根固め工で威力を発揮する。写真はベスード護岸の始点で、PRT(外国軍・地方復興チーム)の護 岸が激しい洗掘で崩壊しかけ、根固めに籠を使用したもの。これも「復興」の後始末。
2014年5月8日

前画像の説明。いくら石が重くて大きくても、もろい河床に置いた巨石の直下が急流で底からえぐられる(洗掘)。河は地域差が著しく、地層や河床材料、 岩盤の位置や流方向を正確に読まないと、とんでもない結果になる。継続的な観察が絶対に欠かせない。普通、このような所は「根固め工」を施すが、材料が 問題となる。

流されず、かつ水の衝撃を和らげる素材として日本ではテトラポットがしばしば使用される。それでも洗掘が避け得ないときは、コンクリート塊を鎖でつ なぎ、洗掘が起きる毎に先端から 沈下させ、洗掘部を守る方法がある。旧ソ連はこの方法で成功しているが、橋脚付近のごく限られた場所である。 しかし、高価であり、現地では先ず入手できない。籠は透過性と屈伸性があり、「水の都合」によく合わせて変形し、その場に留まる。激流に意外に強く、10 年以上残っている例が普通だ。クナール河の水は、ややアルカリ性に傾き、鉄線の腐食が起きにくいこともある。連結すれば数十トンの籠も可能。簡便で低コ ストなのも魅力。

対岸カマ堰をベスード護岸始点から見る。河川の状態は例年より約一カ月早く、増水がピークに向かっている。昨夏復旧した中州上流側は水面下に没し、 「堰の延長」として機能している。同部は巨礫と籠を広く敷き、洗掘は起きない。
2014年5月8日

カマ第一取水口から対岸ベスード側を眺める。夏は堰が中洲と連続して延長すると考えて良い。堤防沿いの樹林が良く育ち、心強い緑のベルトを作ってい る。
2014年5月9日

昨夏大改修したカマ第二堰。越流長を80mから125m以上に伸ばし、水位変動を安定させた。
2014年5月9日

かつての東部アフガンでは、水際で取水量調節を行う工法がなく、増水期に洪水で畑が荒れることが多かった。PMS・堰板方式の取水門が見事にこの難 題を解決して、今では広く現地 受け入れられている。2014年5月9日

造成後3年を経過したカマII主幹水路(1020m)。柳枝工のヤナギは約5メートルに成長、水路壁は以前より強靭。
2014年5月9日

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