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クナール河増水の中、「カシコート」最終段階
~田植え開始~

カシコート=マルワリード連続堰と主幹水路、調節池の現在を送ります。増水期の堰の状態が気になっていましたが、6月に入ってやっと本格的増水が始まりました。でも昨年の大洪水を経て成ったので、大丈夫だと思っています。一連の結果を得てから、「取水システム」の重要性を大々的に訴え始めたいと考えています。カシコートのJICA共同事業は最終段階で、9月までにすべての残余工事が終わる見通しです。

理事会でも述べましたが、

  • 取水堰(斜め堰)
  • 取水門(二重堰板方式)
  • 主幹水路(蛇籠工と柳枝工)
  • 調節池(沈砂池)と送水・排水門

以上を「PMS方式」とし、一つのまとまった取水システムとして提示、実現可能なクナール河、カブール河本川沿いで積極的に呼び掛ける準備を整えたいと考えています。要は、人口増加と気候変動に適応できる適正技術だという点です。ナンガラハル州ではジャララバード南部と北部で著しく明暗を分け、理解されやすい状況が生まれていると考えます。

また、最低限の治水も、河道分割、石出し水制、連続堤防の根固め工ら、「適正技術」が確立されつつあると思います。

7月にはこれまでのJICA共同事業(ベスードI、カマIとⅡ、カシコート)の調査・評価が始まることになっています。その結果を踏まえ、「緑の大地計画」の意義と一連の取水技術を、広く世に問うことができるでしょう。ここは何とか調査に協力し、PMS自身も今までを振り返る機会にしたいと考えています。

天候不順ですが、どうぞご自愛ください。

平成26年6月12日

ガンベリ農場、田植え風景。今年は昨年と同じく15ヘクタール程度にとどめ、排水路造成を待つ。大量の潅水で湿地発生を防ぐためだ。
2014年6月8日

増水期の連続堰。マルワリード側から見る。マルワリード取水口の夏季の水位変化が注目点の一つ。現在のところ順調。
2014年6月9日

中心河道の流れを示す。堰上のレベルは、現在カシコート約2m、マルワリード約1.7mで推移している。
2014年6月8日

カシコート側から見る連続堰。カシコート―マルワリード間の水位差は約30㎝で一定して推移している。
2014年6月8日

河道⑤・⑥の様子
2014年6月8日

カシコート取水門を下流側から見る
2014年6月8日

取水門からカシコート主幹用水路下流側を見る。ヤナギが活着し始めている。
2014年6月8日

カシコート取水門から約800m上流の護岸。洗掘の危険はなくなり、3基の越流型水制が流方向を岸辺から遠ざける。
2014年6月8日

改修のない堰はない。機械力にゆとりができれば巨礫輸送に使って蓄積、次の改修に備える。
2014年6月3日

調節池(沈砂池)の現在。水路建設で新たに耕作可能地が増え、送水門の増設を行っている。
2014年6月8日

送水門の増設工事。取水設備の建設に伴い、約200ヘクタールの耕作可能地が発生、副送水門を建設している。
2014年6月8日

ベスード護岸しめきり堤前の籠出し。昨年度の新たな試みの一つは、籠を使った護岸だ。とくに急流の根固め工には適しているとの判断。今のところ順調、巨礫よりも洗掘が少ない印象がある。水位が下がる秋に効果を判定。
2014年6月8日

マルワリード用水路約7㎞地点、通称H2貯水池の浚渫風景。建設からまる8年、集中豪雨の鉄砲水から里を守ってきた。今回、本格的な土砂浚渫を行っている。堆積した泥土は肥沃で、近傍に集積しておけば住民が自分の畑に持ち去る。
2014年6月8日

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