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河川増水ピーク
ガンベリ排水路最終測量
クナール州で大量難民発生

今週から現地はラマザーン(断食月)に入りました。

陽が高くなってくると仕事にならないので、昼前には現場作業を切り上げています。幸い今年は昨年のような洪水の兆候がなく、河川工事は少なくなっています。それでも、ベスード護岸の一部が浸食を受けて崩れましたが小規模です。

タプー堰はほぼ期待通りの変化で、屈曲河道がきれいに分かれました。ガンベリ排水路整備は、積年の懸案でしたが、間もなく主幹排水路完成に向けて動き出します。これが成りますと湿害を一掃し、安心して潅水ができるようになります。本格工事はラマザーン明けになりますが、現在測量を完了、交通路敷設に向けて動き出しました。

ここでは毎日、数え切れぬ人の血が流れています。欧米人も、日本人も、アフガン人も、同じ血の色をしています。当方としては、突飛な政治の動きに惑わされず、これまで通りの方針で、変らずに仕事を進める積りでおります。

お元気で。

平成26年7月1日 記

ベスード護岸(約2.7㎞地点)のしめきり提。夏のクナール河の水位は郡南部全体より高い天井川。崩壊すればベスード郡の半分以上が浸水するという要衝。2011年3月に出来てから3年を経過、年々改修を重ねて安定してきている。
2014年7月1日

根固め部分の巨礫直下が洗掘されて崩落
2014年7月1日

根固めに籠を置いた場所。条件は上の写真と同じだが、ほとんど洗掘を起していない。
2014年7月1日

ベスード護岸の連続堤防を守る樹林(植樹後3年)。根固めの巨礫斜面上部に植えたヤナギとユーカリ。何れも水に強いが、特にヤナギは絶対に水腐れを起さず、細かい根が巨礫の隙間を詰める。
2014年7月1日

今年の試みの一つは、本来の植生と思われるシーシャム(sissoo tree)で樹林帯を作ることだ。カシコートの自然林から種を集めて約6000本を育苗、ガンベリ沙漠とベスード護岸の一部で試している。
2014年7月1日

クナール州から戦火を逃れてきた避難民。ラマザーン中で酷暑、好んで川辺で涼をとっている。雪解け水の川辺は涼しくて凌ぎやすい。身の上を尋けば気の毒で、肉親を失った者が多い。戦火は酷くなるばかりだという。PMSの造成した樹林が厳しい夏日を和らげる。せめてもの救い。
2014年7月1日

チュクレイ村(上の地図参照)。ガンベリの排水路造成が、「緑の大地計画」の大きな仕上げの一つだ。ラマザーン中は無理なので、先ず交通路を敷設する。公式には来週スタートする。ここは一面の湿地だった。人海戦術で掘った排水路で耕地が完全に復旧した。同村は最も低位置にあり、シェイワ・シギ用水路の浸透水とガンベリからの洪水が集中、一時は壊滅状態であった。
2014年7月1日

干上がった湿地。ガンベリ沙漠横断水路が開通した直後、みなが一斉に無秩序に取水したため、多くの地域が湿地化した。40年前に造成されていた紅柳の林の一部が枯死していた。排水路の延長につれ湿地が失せ、紅柳が再生してきている。紅柳は湿地で育たない。
2014年7月1日

灌漑は大切だが、過ぎたるはなお及ばざるがごとし。PMSの排水路工事は5年目に入り、沙漠開拓の基礎を完成する。
2014年7月1日

ガンベリ沙漠の古い写真を整理して経年的な変化を見ていますが、なかなか同じアングルのものが見つかりません。これは2009年6月16日、試験的に満水した直後のQ3池(自然地面から15m上にある天井池)です。浸透水の処理対策を行っています。下の写真と、ほぼ同じ位置だと思われます。

2014年5月14日のもので、ちょうど5年過ぎたことになります。平和ケ丘が緑の小山に見え、厚い樹林帯が洪水の防波堤になっていることが分かります。日本に比べて樹木の種類が少ないですが、良く役割を担ってくれている気がしています。

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