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夏の高水位、ピークを越す
降雨2カ月間なく渇水拡大、
マルワリード用水路など全開で送水

猛暑ですが、もう2カ月間以上、まともな降雨がありません。屋外の日中気温40℃、湿度30%以下、水田が増えたのは喜ぶべきですが、ほとんど雨がないので土地が乾きやすく、送水量が追いつかぬ状態がマルワリード流域で続いています。例年なら、6月下旬から7月いっぱいにかけて河川の水位がピークなのに、7月に入って下降傾向です。PMSの取水堰は十分な水量を送っていますが、土地の乾燥が甚だしく、現在浚渫を急いでさらに水量を上げています。現在、見回りを強めて無秩序な潅水を取り締まり、万遍なく水が行き渡るよう配慮しています。

河川周りは、しめきり提(ベスード護岸)の部分浸食だけで、わずか一週間の作業で済み、一段落ついています。籠による護岸法が、かなり力を発揮しました。

最大懸案は、10月に予定されるベスード第二堰の建設で、再調査をくり返し、準備が進められています。不吉な予兆は、今夏から今冬にかけての旱魃、凶作の可能性です。不安を裏づけるように食糧価格の高騰が始まっています。飢餓が深刻になれば、追い詰められた貧困層が大人しくしていないと考えます。

このような流動的情勢ですが、作業地は嘘のように安定しています。今さら政情を嘆き、あれやこれやと論じても始まりません。予定通り、10月から工事を断行、地域の自給態勢を確立します。

小生は一時退避し、9月初旬に出直すべく準備を整えます。ご協力を宜しくお願いします。

平成26年7月12日 記

連続堰両端、両取水口の水位変化。例年なら断続的な夏の雨を加えて、高水位が8月まで続くが、今夏は下降傾向を示している。

マルワリード取水口。送水量は現在約8m³/秒、一日量にして70万トンを送る。こんな水量は同用水路建設以来、初めてだ。徹底した浚渫で送水が可能になった。
2014年7月2日

D調節池の現在。2010年の大洪水時、上流のジャリババ渓谷からも洪水が下り、大量に土砂が堆積した。池がいったん埋めつぶされるほどだった。2011年、ジャリババ洪水通過路が二倍(幅約30メートル)に拡張され、土砂流入を制した。土砂の量が膨大だったので、幅広い川のように掘削して凌いだ。
2014年7月8日

D調節池の送水門と排水門。亡くなった鬼木さんの力作。現在、排水門の排出量が少なく、今秋に改修を予定。
2014年7月8日

D沈砂池より約500m下流(E地区)にある揚水水車。次第に改善を重ね、カンデイ村の命綱となっている。
2014年7月8日

排水管。管の先端にネジ溝があり、土砂を流すとフタをねじ込んで止める。土砂でサイフォン管が閉塞したが、浚渫用の排水管を取りつけ、定期的に洗っている。規模はうんと小さいが、通潤橋(熊本県緑川)の着想。
2014年7月8日

取水口から25㎞、ガンベリPMS農場の水田。田植え後約1カ月。今年は昨年と同じ12.5ヘクタールに止め、排水路が完備してから拡大してゆく。
2014年7月12日

生育は昨年より旺盛。農薬は使わない。おそらく強い日差しで病害虫が少ないのだろう。十分いける。
2014年7月12日

ミズスマシの群。田圃ができるといろんな生物が入ってくる。ゲンゴロウ、タガメらの水棲昆虫、それらを捕食するカエル、小鳥らの小動物が集まってくる。今のところ貝類は確認されていない。ミズスマシは流れの速い所で集団化し、静かな水面で分散、円を描いて運動する。かつての日本の風物。
2014年7月12日

記念塔。ここに農業事務所が移り、生産管理を行う。来年予定する「オレンジ花の会」開催を目指し、整備されている。
2014年7月12日

記念塔は室内集会所を併設し、会議なども行えるよう、増築している。
2014年7月12日

砂嵐さえ来なければ、もうこっちのものだ。砂質土の表面にシルト土を加えると水はけの良い、畑に適した土質になる。シルト層は、オレンジ園造成時に薄い砂質層の直下に発見され、ダンプカーで少しずつ運搬する。
2014年7月12日

ガンベリ農園未開墾地。以前の沙漠の面影を留める。
2014年7月12日

マルワリード用水路末端はシギ送水路が連続する。ヤナギは植樹後一年。なお、用水路はこれまで25.5㎞としてきましたが、約25㎞が正確です。お詫びして訂正します。しかし、シギ送水路は事実上の延長なので、27㎞と言っても構いません。
2014年7月12日

造成から約1年経たシギ送水路。急流なので練石積みで側壁を頑丈に造っています。コンクリート三面掩蔽に近いものですが、必ずひび割れするので、柳枝工を施しています。
2014年7月8日

ここはもと、紅柳の防砂林があるだけの乾いた土地でしたが、すっかり緑になり、子供たちの遊び場を提供しています。
2014年7月8日

シギ送水路は、わずか2㎞に7つのサイフォンがあります。サイフォンは小さい子が引き込まれて水死することがあります。今まで3名が犠牲になっています。下流側で遊ぶよう、いつも忠告します。普通年長の子に伝えると、大抵守られます。
2014年7月8日

ベスード護岸の補修(蛇籠使用)。見かけが少し悪いですが、巨礫だけのものより優れています。洗掘で河床が下がると、曲がって法尻を守り、継ぎ足していくうちに安定してきます。
2014年7月7日

籠(1×2m)を2個連結すれば、容量4m³、重さ約10トンの単体となり、テトラポットに負けません。しかも透過性と屈伸性があり、丈夫です。 「設計図とお金だけで水利施設ができる」と考えている人はいませんか。断食中でも炎天下で黙々と働く地元の人々が居るからです。こういった仕事をする人が消えてゆく国々は、軟弱で観念的になります。土木工事や農業で求められるのは、巧みな言葉より質実さです。
2014年7月7日

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