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交通路敷設、取水口付近に迫る
~レシャード先生訪問~
11月8日に現場に戻ってから、くり返し報告したように、大幅に方針を変えました。①交通路を浸食線に沿って、速やかに取水口部(護岸始点から1400m地点)まで敷設。取水門と堰建設を11月下旬までに開始すること、②交通路敷設を同時に護岸堤防の基礎とすること、③以上の基礎工事を遅くとも12月中旬までに完了し、来春3月初旬までに主要工事を終えること、の三つです。
基礎工事は河の低水位期でないと不可能で、冬の雨期に入ればコンクリート工事が遅れ、降雨や霧の発生で事故が増え、何倍もの予算と努力を強いられるからです。
最も難航しているのが「交通路敷設」です。再調査で、浸食線に沿う護岸線は、総延長2,250m、推定6~7万立米の砂利と土砂、2万立米の巨礫を必要とします。ピンと来ないでしょうが、現在の一日輸送力は大型ダンプカーにして、砂利が300台分、巨礫が60台分です。100日間続ければ、夫々3万台分、6千台分となり、目的を達するだろうとの考えです。職員たちの並々ならぬ努力によって、11月16日現在、護岸始点から1250mに達し、取水口予定地まで150mに迫りました。あと一息で取水門の基礎が開始できます。
なぜはしゃいでいるか、少し説明が要ります。
河川・水利工事は「基礎が全て」と言っていいほどで、基礎が成れば「見通しがついた」と私たちは考えます。土木工事で見える部分は実はわずかで、皆さんが目にする用水路やコンクリート構造物は、基礎の上に乗る氷山の一角と思っていいと思います。しかも、低水位期という時間的制約、自然・地理条件に大きく左右され、計画通りに進む方が稀です。これが、一般の建築と異なる点で、なかなか理解を得るのが難しいのです。
先週まで、「或いは一巻の終わりか」と思っていましたが、可能性は十分に出てきたと思います。
レシャード先生は、思った通りに、日本人以上に日本的な、温厚な紳士でした。私たちの作業地の主な場所をご覧になり、喜んで帰られました。日本では介護老人の診療に尽力しておられ、親の面倒を見ない利己的な人々や、弱い者いじめに憤っておられました。頭が下がると共に、もっともな話だと思いました。この数十年間で急速に変質した日本を想い、ここで仕事ができるのが役得のような気がしています。来年の「オレンジ詩会」には、また招待したいと思っています。
窮すれば通ず。浸食線沿いに、超突貫工事で交通路敷設が進む。11月16日午後、1250m地点に達した。
2014年11月16日
取水口予定地から、交通路先端を望む。あと150mに迫る。手前の丸いものは牛糞で、村民が天日で乾かしているところ。
2014年11月16日
牛糞は貴重な燃料で、日常の調理に欠かせない貴重品だ。
2014年11月16日
ガンベリ農場のサトウキビ畑。間もなく収穫が始まる。今年の作付けは2.5ヘクタールで、4トンの黒砂糖を予想している。
2014年11月10日
建築中のサトウキビ精製工場。
2014年11月10日
原理は簡単で、大鍋で煮詰め、水分を蒸発させて固形成分を得る。
2014年11月10日
播種中の小麦。昨年職員に配布した小麦の品質は上々、今年は約45ヘクタールに蒔く。
2014年11月10日
レシャード先生、Q3池からガンベリを望む。ここからの眺めが一番印象的だったそうだ。
2014年11月14日
PMS建設のシェイワ・モスクの前で。
2014年11月14日
取水設備も熱心に見られる。堰板を自分で吊り降ろして体験。ベスード第一堰(カシマバード)取水門にて。
2014年11月14日
揚水水車(クナデイ村)の前で。
2014年11月14日