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ミラーン護岸工事、最終点2200mに到着
~ミラーン堰、新シギ堰共に年度内決着の見通し
  異常少雨で各地に渇水の兆し~

今年の工事も、やはり難工事です。二つの取水堰を同時に進めるのは初めてで、相当な努力が要りました。しかも、ミラーンでは、まさか工事予定地が目の前で河の藻屑と崩れるとは思ってもみなかったのです。ミラーンでは11月中旬まで肝心の作業地に近づけず、交通路確保と護岸に追われ、取水設備の着工は1ヶ月遅れました。天候によっては作業の進捗が望めず、悲壮な気分で2ヶ月が経ちました。

この間、石材の大量輸送態勢を整え、シギ堰の予算を建て直し、現場職員・作業員に細かい目配りを施し、PMSあげての総動員態勢をとってきました。降雨と濃霧を恐れて作業のピッチを上げましたが、幸いというべきか、異常少雨と河の異常低水位に支えられ、主要工事地点を制し、やっと来週から堰の工事が開始されます。3月の試験通水は、両堰ともに動かないと考えます。

異常少雨です。ジャララバードでは10月8日の着工式の時に一日降っただけで、まる3ヵ月一滴も降りません。それでも一日の降雨量が多かったため、スピンガル山脈とケシュマンド山系は一時的に白雪を頂きました。タイミングよく小麦蒔きの時機に当たり、各地で小麦畑が出現しています。しかし、生育時や刈取り前の潅水は保障がありません。あちこちで不安なささやきが聞かれます。

天候までは左右できないので、せめて守備範囲の取水を確保し、何とか切り抜けたいと思います。

報ぜられる政情に、人々は再び無関心となりました。選挙への期待が裏切られ、雲の上の取引で政局が流れていくからです。とくに底辺層はそうであろうと思います。いくら外貨を得ても、急な治安改善が望めなくなると恐れています。

年の瀬のあわただしい時ですが、皆さんもお元気で。

平成26年12月11日 記

低水位と共に現れてきた河道の全体像と侵食の様子。△は一般的な石出し水制、▓ (オレンジ色傍線)は河原と埋立部に埋設した水制。河道②~④が、砂州1~3の下流で合して大きな流れを作り、護岸始点から1600~1700m地点で河道①を加え、クナール河の全水流が激しく河岸を浸食する。取水堰からD22までの落差3.5mで、急流。

護岸線下流部、始点から1600~2000mの工事。100m毎に水制を置き、河岸浸食を防ぐ。かなりの急流で、相当な努力が要る。各水制の長さは、岸辺から20メートル以上、幅約12メートル前後。
2014年12月11日

護岸線2000~2200mの様子。もろいシルト層を洗掘しながら、河道が村の奥深く侵入しているのが分かる。数百メートル下流にカマ橋。
2014年12月11日

同遠望。巨礫の輸送力は、現在一日40台分以上を維持している。今回は、巨礫の輸送力が成否を決する。
2014年12月11日

1400m地点の取水口を望む。ダラエヌールの雪が消えかけている。雨がなければ、山麓の小麦が死ぬ。
2014年12月11日

取水門建設。先ず下段を仕上げる。上部は水を流しながらでも出来る。水に浸かる部分を優先し、時間を稼ぐ。
2014年12月11日

取水門前面部の様子。4連水門としたのは、幅1.5m以上では洪水時に堰板が折れる恐れがあり、小分けして強度を増すためだ。また、超低水位でも取水できるよう、取水幅総計を大きくとり、流水断面積を確保している。水門幅が狭いと無理な堰き上げが必要となり、大工事となる。
2014年12月11日

堰の位置を決定し、水門下段の仕上がりを待つ。来週中に堰造成を開始予定。
2014年12月11日

主幹水路のライニングが進められている。ライニングは目立たないが水路の基礎である。シルトや細砂を砂利に置換し、厚さ30㎝以上でソイルセメントを使用、10m毎に1.5㎝の傾斜をとる。このライニング法がPMSの定番、0.0015の傾斜は経験的に得た値で、砂をよく押し流すと共に急流に耐える。
2014年12月11日

同主幹水路の工事先端。ライニングの速さは一日20メートル、約4週間で全線が仕上がる。追いかけるように、蛇籠による水路壁が始まる。
2014年12月11日

護岸工事変更から一ヶ月、1200m地点の現在。3月までに約1.5m更に高い堤防が築かれる。堤防壁は最低10メートル以上の幅を確保。交通路造成に使用した小水制(毎25m)は埋立てられ、堤防下段の骨格となり、更に延長を加える。
2014年12月11日

小春日に 河も驚く 騒ぎかな(クナール河のカワセミ)

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