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ガンベリ黒糖絶唱

最近の最大の話題は、何といっても「ガンベリ沙漠の黒砂糖」です。

今年、ジア先生らが率先して二ヘクタールにサトウキビを植えました。現在、収穫中です。その量、「2.5トンが確実」というから驚きます。何度も計算し直しましたが、間違いありません。

初めての製品ができた時、誰もかれもが躍り上って、尋常な喜び方でなかったことにも驚きました。特に年配の者がそうでした。聞くと、二十年ほど前まで、ナンガラハル州は黒砂糖の一大産地だったそうです。落花生やクルミと混ぜ、祝い事や客に差し出す茶菓子として、子供に与えるご褒美として、深く生活に根ざしていました。それが近年次第になくなり、カマの一部の地域でしか採れなくなっていました。

特にソルフロド産は有名で、アフガン各地に出荷していたと言います。サトウキビは水気がないと育ちません。スピンガル山脈の麓の乾燥化と共に、次第に消滅し、現在に至ったそうです。「オレンジの花・詩会」と同様です。「無くなったものが大豊作で戻ってきた」という喜びは、例えようがなかったようです。

おそらく、豊富な日光と水に恵まれ、荒れ地であるはずのガンベリで豊作になったのだと思います。

事務局にもことづけましたが、味はいかがだったでしょうか。混ぜてある落花生も、ガンベリでとれたものです。

黒砂糖は干ばつ克服の象徴として、長く生産していくつもりでおります。これも募金活動の成果ですから、ご要望なら、またお贈りします。純アフガン産、完全無添加の自然食品です。

サトウキビのジュースを煮詰め、灰汁をすくい取り、頃合いを見て取り出す。煮詰めるのにかなりの薪が要るので、これも生産できにくくなったことの一因らしい。ガンベリ農園では膨大な間伐材が出て、燃料にはこと欠かない。全ては水とお日様の恵みである。
2014年12月9日

サトウキビの茎を差し込んで、絞った液を小屋の中の大鍋に流し込む。粉砕されて残った茎は、家畜の飼料に使う。
2014年12月9日

サトウキビ精製工場の傍にある牛舎。担当はソルフロド出身職員のモヘブッラー。アフガン人なら誰でも、農業ができ、家畜を飼える。皆根っからの農民なのだ。農業と農学は異なると、改めて思った。
2014年12月9日

乳牛は現在14頭。間もなく出産する仔牛を加えると15頭になる。牛糞は燃料や堆肥に使える。
2014年12月9日

ガンベリ農場の一角のオリーブ園。移植後二年を経過。樹高0.5~1.0メートル。約1200本。精製工場をもつ州政府と提携している。これまで用水路沿いに植えたものは専ら法面保護に使われた。約八割の1600本が生育し、収穫できるようになっている。既に植えたものを加えると5000本を超える。
2014年12月9日

ビエラは低木だが乾燥に強く、干ばつにも耐えてきた。防砂林の一部として、4653本が植えられて育っている。パキスタンにもあるが、アフガン産は糖度の高い花実をつけ、ミツバチの飼育に利用される。枝に棘があり、遊牧民も近寄らない。
2014年12月9日

薪として期待をかけているのが、一昨年からしばしば言及してきたシーシャム(Sissow)で、ガズ(紅柳)の間に1500本が植えられた(移植後2年)。川辺に移植したものに比べると、生育は劣り、乾燥地向きではない。マメ科なので、少しずつ農場の湿った場所に移植する計画。
2014年12月9日

新シギ堰建設の現在。水門が完成に近づき、間もなく堰の造成が始まる。
2014年12月9日

シギ堰は小ぶりだが、一人前のPMS方式の全てを網羅する。灌漑面積は約800ヘクタール。
2014年12月9日

堰の原型は既にできており、来週から巨礫の輸送が始まる。ミラーンと異なり、砂利から巨礫に至るまで、石材が近くのダラエヌール渓谷の洪水路から豊富に採取できることだ。間もなくシギ灌漑計画(下流域をマルワリード用水路末端からサイフォンでくぐらせて送水、上流域を水量調節できる取水門で潤し、湿地発生と下流の渇水に終止符を打つ計画)が完成に近づく。これも3年がかりの計画となった
2014年12月9日

主幹水路はライニングを終え、水路壁の工事が始められている。
2014年12月9日

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