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新シギ堰、通水試験を開始
~ミラーン堰は来週中に予定~

本日、シギ取水路は事実上開通しました。まだ残りを造成中ですが、シギ地域全体の安定灌漑が保障されたと思います。2年前に開通したマルワリード用水路2㎞延長(シギ分水路)で下流域が安定し、上流域もこれで落ち着きます。

小ぶりでも、しっかりした作りです。着工からわずか4ヶ月、しかも画期的な点は、小生が余り口出しせず、99%職員の創意工夫に任せてできたことです。ミラーンが確かに大きな工事とはいえ、シギ堰こそが「今後」を考えると、意義の大きなものになったと思います。「自分たちでできた!」という実感は、大きな喜びと自信を与えました。一同、大いに士気が上がりました。

ミラーンの方は、全線のライニングを終え、通水試験準備の最終段階に入りました。来週中には間違いなく送水ができると思います。

シギ堰の川周りを仕上げた一隊は、現在カシコート連続堰に集中し、今冬最後の仕上げを急いでいます。暖冬で、早めの雪解けと増水が考えられるからです。来週中には吉報をお届けします。これで現場の負担はずいぶん軽くなりました。

もう少しです。ご協力に感謝します。

平成27年2月7日 記

通水試験の朝はものものしい。施工の検査が細かく行われるからだ。だが最近は殆ど当たり外れがなく、以前のような不安感はない。それでも、自分の手で作ったものが合格するのは、働く人々にとっては無上の喜びだ。合格祝いで支払われる2日分の日当も、大きな魅力だ。
2015年2月7日

同堰はブディアライ村の下流、通称R1(ダラエヌール渓谷で最大の涸れ河)の激しい洪水路に当たる。土石流の流れ道で、洪水対策も同時に行われた。しかし、ダラエヌール上流から、巨礫、砂利、泥土と、重要な資材が手近な所で豊富に採取でき、石材輸送の困難を免れた。

水を押しとどめていた遮水壁(交通路)を切って水を流す。
2015年2月7日

堰幅99m、堰長15~20m、落差70㎝、全体が扇状で中央が窪んだ形をしている。取水門側から約20mを数センチ低くし、高水位時の流れを引き寄せ、中州を破壊せぬようにしている。
2015年2月7日

通水を確認してから、巨礫間に玉石を詰め、最後に土砂吐きを造成する。クナール河は異例の低水位で、開通試験時の水位は取水門床で何と10㎝。巨礫間に玉石を詰めるとさらに水位が上がるが、これで十分潤せる。
2015年2月7日

流速は秒速0.9mと速い。流量は実測で毎秒約1m³前後、一日で約8万6千トンを里に送る。冬の取水としては、麦作なら十分。おそらく蛇籠の隅を埋めつぶしたソイルセメントの高さまでは、コンクリートに近い粗度になるためだ。水位はまだ上がる。
2015年2月7日

水を満たした沈砂池。両岸は巨礫の壁で掩蔽される。
2015年2月7日

既存水路との接合部を送水門から見る。うまく繋がり、村人は胸をなでおろして喜ぶ。
2015年2月7日

排水門の流れの確認。素晴らしい勢いで流れ下る。
2015年2月7日

ミラーン堰の状態。今年は異常な低水位で、取水量が心配されたが、一定の程度を保っている。
2015年2月7日

送水試験を一週間後に控え、下段壁面の蛇籠工が進んでいる。
2015年2月7日

河の水位は取水門床面から31㎝で、ほぼ動かない。計算上は30~40㎝で間に合うことになっているが、余り欲張ると増水期に泣くことになる。堰き上げはいつでもできるので、このまま観察を続けている。
2015年2月7日

水路壁の下段とライニングはほぼ完了している。
2015年2月7日

進む沈砂池の造成。今回はライニングを排水門まで行い、土砂排出の効果を更に高めている。
2015年2月7日

送水門床面と排水門床面との落差は、最終的に80㎝、かなりの効果が期待できる。
2015年2月7日

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