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ミラーン堰、送水開始 !
~洪水と渇水の恐怖を去る~

本日2月18日午前10時、ミラーン取水口を開放、ついに試験送水を開始しました。水は滔々と調節池に流れ込み、二つの送水門をくぐりました。同流域1100ヘクタール、来年から予定されるタプー流域を併せると、1700ヘクタールの安定灌漑を保障したことになります。

予期せぬ河の猛威に遭遇し、急きょ方針を変えたのが11月初旬でした。交通路確保と護岸工事に手間がかかり、予定が大幅に遅れました。やっと用水路・取水堰に着工したのは、11月も終わりに差しかかっていました。この間、シギ流域の渇水が深刻となり、同じく10月に「新シギ堰」が着工、二正面作戦となりました。その上、連続堰やカマ堰の改修が課題として残っていたのです。

しかし、天の時あり、地の利あり、職員・作業員一同、住民と一体となって難局を切り抜けてきたと思います。二つの取水堰建設を同時に手掛けたのは、おそらく初めてで、それだけ皆が熟練の域に達した証拠だと思います。

ミラーン堰、二カ月半の快進撃は、誰にも大きな自信と希望を与えました。しかも異例の少雨で、凶作の不安が迫る中のできごとです。誰よりも喜んだのは流域農民自身だったでしょう。住民の要望があったのは2年半前、カシコート計画の着工直後でした。いろいろと援助の話もあったようですが、これまでの経緯を見てきた住民は、「PMSの工事でなければ不要」と、頑としてはねつけ、待ち続けていたのでした。

まだ完成した訳ではありませんが、大きな山を越えました。あとは河周りを一年半かけ、二回の増水期を観察、洪水対策と堰の改修を行います。

先ずは、流域4万人の農民に代わり、心より御礼申し上げます。

予定地の侵食、流失で、水路長が約100mほど短縮しましたが、基本構成は変わっていません。詳細は、追ってお知らせします。

平成27年2月18日 記

取水門(4連)の幅を広くとることによって、超低水位の冬でも十分量が保障される。また、流速は砂礫を沈砂池まで流すのに十分な速さである。

最終的な水頭配分。カシコートに比べれば主幹水路が短いが、必要な設備はすべて備えている。四連取水門の幅総計は6.0m(1.5×4)、低水位でも悠々と送水できるのがポイント。無理な堰き上げも不要となる。

取水門付近で、開通の内祝い。作業員と職員を集めて労をねぎらう。もう一年くらい経ったような気がしていたが、ジア先生が言うように、全てこの4カ月の出来事だったのだ。
2015年2月18日

土嚢を外し、水を流す。水路の底を歩くのは最後だ。
2015年2月18日

流速は相当にあり、400mを約5分で下った。
2015年2月18日

皆勇んで水に浸かり、土嚢を取る。作業員は新顔の青年も多い。
2015年2月18日

灌漑用水を送りながら、後は「水上工事」で用水路の上部を仕上げていく。もう急ぐことはない。
2015年2月18日

取水門の全開で、主幹水路の水深は約30㎝、流速約1.0m前後、砂礫を悠々と押し流す。超低水位の現在でも、流量は毎秒1.5トン、一日12万トンに迫る。マルワリード用水路よりも効率が良いのは、取水門の幅を十二分にとっていることと、ライニングの技術が向上したからだ。
2015年2月18日

沈砂池を満たす水。荒瀬を立てて勢いよく流れるのは、排水門への流れだ。
2015年2月18日

排水路は急流で、正確な測定が不能。目測で流速は毎秒3~4m、急傾斜は巨礫を敷いて床面を作っている。
2015年2月18日

西送水門。コンクリート構造物は下部しか出来ていないが、水さえ送ればあわてずに施工できる。
2015年2月18日

東送水門を下流から見る。造りかけの農道の橋をくぐって既存水路に流れ込む。
2015年2月18日

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