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アフガン東部で洪水
~ベスード第一堰部分崩壊、ジャララバード市内に浸水
カブール=ジャララバード間国道寸断、高地で降雪と雪崩頻発、死者不明増加中~

アフガン東部では、先週まで降雨がなく、深刻な渇水が続いていました。ところがこのところ曇りと小雨が断続的にあり、2月23日夜半から翌24日朝にかけて、突然土砂降りとなりました。24日早朝、現場作業は困難と見て、今冬で初めて休止の指示を出しました。

雨は、スピンガル山脈、ケシュマンド山系、カブール河沿いの渓谷を集中的に襲いました。2月24日夜、カブール河の水位が遂にベスード第一堰を30㎝越えて浸水、対岸ジャララバード市内も、あちこちで堤防が決壊しています。おそらくカブール河での瞬間的な水位上昇は、これまで誰も経験したことのないものでした。50年以上前に建設されて以来、浸水したことのなかったカブール=ジャララバード間の国道が崩壊、小さな橋梁が流失、人々を驚かせています。

日中に時折、晴れ間が少しだけ見られますが、まるで夏の積乱雲のような雲が重なり合い、夜間に土砂降りとなります。気温はこのところ、20度を越える日が多く、暖冬でした。カブールは雪だそうですが、おそらく解けやすい雪で、各地で雪崩が発生、伝えられるだけで数十名が死亡しています。

クナール河も増水し、昨日から河川工事を中断しています。作業地では、ケシュマンド山系からガンベリ沙漠を通る洪水路があふれ、同横断サイフォンの一部が洗い出されています。連続堰では突然0.5メートルほど水位が上がり、作業を中断しました。カマ堰は見たところ影響がありませんが、水面下で何が起きているか分かりません。現在、冬の補修が困難となり、様子を見ています。

ベスード第一堰では緊急事態、2月25日早朝から、破損部の緊急補修を始めています。午後6時現在、水位は下がり始めていますが、夜間増水の可能性が高く、手を緩めず、徹夜で監視が続けられています。しかし、溢水はしたものの、突然3.8メートル(同堰の水門の高さは3.5メートル)の水位が、それも冬の季節に、やってくるとは思えませんでした。

予測ですが、水は1~2週以内に一旦引き、春に大きな波が確実に再来すると思います。その間をついて、最低限の対策を実施する方針です。3月8日の理事会まで帰国できるかどうかは、天候次第です。とりいそぎ、連絡を兼ねてお知らせいたします。

平成27年2月25日 記

両翼を破損したベスード第一堰(カシマバード)。左翼は部分的に上段1mほどが削られ、右翼は約10m四方が流失、水路壁が河にむき出しになっている。水門番小屋が消えている。主流が土砂吐きの方へ寄りつき、水門直下で激しい洗掘を起したと推測される。
2015年2月25日

ベスード第一堰対岸の様子。一時路上まで浸水していたが早朝からやや引き始めている。
2015年2月25日

流失した右翼側全景と全壊して沈んだ門番小屋。
2015年2月25日

午前7時頃。右翼から水路外壁に迫る侵食。これは恐ろしい。基礎と籠の強度が運命を分けた。
2015年2月25日

同侵食部を水路内壁から見る。崩壊すれば、2千数百ヘクタールに水害が及ぶ。30㎝ほどの越流では済まない大被害となる。
2015年2月25日

板一枚向うは水地獄。わずかな越流を除けば、水門からの洪水流入は確かに防がれたが、文字通り脇が甘かったのだ。
2015年2月25日

昨夜、水門を越えて流入した土砂。思い出すように晴れ間がきて、鮮やかにヤナギの芽吹きを伝える。新緑も 今は愛でない アダの花。
2015年2月25日

午後4時頃。用水路外壁に沿って巨礫を詰めていく。水深3~4メートル。河に聞き、天に祈れ。
2015年2月25日

越流して用水路の河岸を洗った洪水の後。ユーカリは根が浅く、堤防には向かないが、流速を殺すことができる。流入が浅く、崩壊したのは全て河の表法だった。
2015年2月25日

子どもが殊勝に手伝っているのではない。洪水があると、真っ先に子供が飛び出してきて、流木を拾う。貴重な燃料のかき入れ時が洪水なのだ。農村では、学校に行けない子供の方が多い。危ないので追い散らすが、心から怒鳴りつける気にはならない。重機の運転手の多くもまた同じ境遇、流木を拾ってやる者が多い。教育のなさを嘆くより、そちらの方が暖かく見える。
2015年2月25日

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