前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ

「冬の洪水」、沈静化へ
~増水期が迫る中、各所で緊急工事~

先に「真冬の洪水」をお伝えしましたが、アフガン東部のかなり広範囲で影響があり、雪崩と鉄砲水があちこちで起きたようです。カブール河本川、クナール河共に、水位は平年並みに戻りつつあります。

以下、作業地への影響と当面の予定です。

  • ベスード第一堰;先に伝えた通りで、復旧作業が必死で進められています
  • カマ第一堰;特に影響ないですが、更に大きな洪水を予想して、脆弱と思われる場所を補強予定
  • カマ第二堰;堰の中州側で侵食が拡大、来週より改修工事
  • 連続堰;第二河道造成を中断。増水で工事継続は困難、このまま経過観察
  • 新シギ堰;影響なし。3月下旬までに完工予定
  • ベスード第二堰(ミラーン);水位上昇は軽微(30㎝→55㎝)、現在既存水路との連結部を工事中
  • ガンベリ;シギ延長路で「洪水路横断サイフォン」の根方が洗われて一部が露出。補強工事を予定

作業地での犠牲者は、ミラーンで1名が落雷で死亡したのみ、全域で住民の被害はありませんでした。周辺、特にカブール河本川沿いとパンジシェールなどの高地で、雪崩と鉄砲水でかなりの犠牲者があったようです。また、ソルフロド付近でカブールへの国道が崩壊、ラグマン州を経由する迂回路が大混雑し、復旧に必要な石材輸送が著しく滞っています。このため、重機等の配備が遅れています。来週から輸送力を倍増して対処します。

ベスード第一堰は速やかに行わないと、住民の間で不安が広がります。一時的な浅い越流だけなら、大きな事ではありませんが、取水門の崩壊は致命的となります。実は昨年9月まで堰の改修工事中でした。ところが機器・人員共に、ミラーンの緊急工事に引き抜かれて中断、3月に再開予定でした。まさか、2月に急襲されるとは思わなかったのです。

ベスード第一堰を除けば、ひとつひとつは決して大きな工事ではありません。しかし、増水期が迫っており、時間に制約があります。一挙にやるとなれば、現場が混乱に陥ります。しばらく離れられる状況にないと判断します。

事情をご理解の上、善処いただければ幸いです。

平成27年2月27日 記

徹夜に近い作業で、むき出しになっていた主幹水路を巨礫で掩蔽。水深は5メートルを超えていたが、水門部のコンクリート構造物は殆ど損壊がなかった。一段落は着いたものの、次の来襲に備えて強靭な護岸工事を急ぐ。
2015年2月26日

ピーク時の水位から約2メートル低下。主流が大きく取水口側に蛇行している。シェイワ堰、マルワリード堰、カマ堰と類似の状態で望ましい変化。
2015年2月26日

ベスード第一堰の河道変化と堰改修の概略。岩盤沿いに激しい洗掘を起しているが、基本的な河道位置は殆ど変化していない。深い所を引き寄せれば、対岸への影響が少なく、改修はやり易くなる。マルワリード、シェイワ、カマらの堰と同様。逆に言えば、河道が安定しているからこそ、昔から取水場所に利用されてきたと推測される。

カマ第一堰、第二堰。水位は2010年夏の大洪水に迫ったが、一時的。殆ど影響は見られなかった。
2015年2月26日

カマ第一堰の様子。先週までは異常低水位を心配していたが、現在4月並みの高水位。中州に接する堰先端部も、良く残っている。
2015年2月26日

同堰先端部。2013年6月の大洪水で破綻し、河道が発生したが、同年秋の改修で河道の再整備が行われた。急流を成している部分は、巨礫と籠が大量に詰められ、安定したと見る。
2015年2月26日

カマ第二堰。中州に接する部分の洗掘。埋設した籠や巨礫が沈下して残っているのが分かる。中州の河床材料が弱い場合は、根気よく籠を埋めるのが最良。
2015年2月26日

連続堰の水位変動。2月25日、マルワリード側で約75㎝の突発的な水位上昇が見られたが、直ぐに下降を始めている。直前に見られた水位上昇は、第二河道の造成による変化。

マルワリード=カシコート連続堰、第二河道の造成。洪水直前のもの。幅約40メートルで巨礫の床が旧マルワリード堰に密着している。
2015年2月24日

同連続堰の第一河道。五つの土砂吐きに分かれて下る。万一の異常渇水時には、土砂吐きを材木や土嚢で詰めれば、相当な堰き上げができる。今回の洪水で、突然50㎝ほどの水位上昇があったが、影響はなかった。
2015年2月24日

同部の近景。この直後に増水が始まって作業隊が退避した。
2015年2月24日

新シギ堰。護岸工事が進み、3月中に完工する。増水で石張り堰が見えなくなっているが、辺縁が見える。
2015年2月24日

同堰の土砂吐きの完成。
2015年2月24日

前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ