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冬の河川工事収束へ
~カブール政府側からの訪問増加
   新シギ堰、3月17日に竣工、流域全体で小麦の大豊作~

当地は何とか冬の河川工事を乗り切り、一息つこうとしています。ミラーン予定地の流失やら、真冬の洪水やら、河は化け物だと改めて思いました。

しかし、お陰で二つの取水堰(ミラーン、新シギ)を同時進行で片づけ、突発的な冬の洪水による被害、堰改修も終わりに近づいています。

小生は新シギ堰の竣工、年度変わり目の重機の配置などを見届け、政府への年間報告書を作成して一時帰国します。3月下旬にアフガン新政府の農村開発大臣が山田堰の見学に来るので、何とか協力したいと思います。アフガンと日本では物量も財政も異なるので、直ぐには多くを望めないでしょうが、これは歓迎すべき動きだと思います。心ある政府関係者の間で、取水技術を改善し、ともかく食糧自給率を上げるべきだという危機感が、広まっているのだと思います。その模範例が「緑の大地計画」だと知られるようになってきています。

一方JICA共同事業の評価も進められています。いろんな動きが重なって起き、万事、日本のようにスムースに進まぬ実情はご理解ください。しかし、どれも手抜きはできないので、着実に応対していきたいと考えています。

最近感ずるのは、カブール新政府の関心の高さです。この機を利用し、「頑張れば、生き延びれる」という希望を広げたいと思います。

ギは全域で小麦の大豊作です。今年の異常渇水にも拘わらず、新シギ堰で上流域、マルワリード用水路延長路で下流域の安定灌漑が実現し、全域で緑の絨毯が広がっています。

平成27年3月12日 記

シギ下流域の耕地は、今年は見渡すかぎりの小麦畑だ。例年、下流域は水不足に悩まされ、収穫できぬ村落もあった。
2015年3月10日

上流域を望むと、ケシュマンド山系の白雪が鮮やかである。

ベスード第一堰の改修が完了。斜め堰は更に工夫を加え、中洲接合部の侵食が起きにくくなった。越流線は直線でなく、楕円を描いて河道中心に水流が集まるようにする。連続堰以後、その方針で改修を進めている。
2015年3月11日

もう鉄壁である。岩盤のように構造物を支える。
2015年3月11日

芽吹く用水路のヤナギ。挿し木後3年半。洪水流入でビクともしなかった。
2015年3月11日

沈砂池(調節池)。現在公園化して、ジャララバード市民の憩いの場所ともなっている。2月25日の突発的な溢水の際、堰板で送水路を閉じ、二重の防御となった。
2015年3月11日

カマ第二堰の改修。これもベスード第一堰と同様、全体を弓状の半楕円とし、中洲側の浸食を防ぐ。連続堰以後得た方法で、良く機能する。
2015年3月11日

籠は中洲と堰の接着部に使う素材としては優れている。砂利層にも、巨礫にもなじむからだ。2011年に設置した籠の残骸が確認された。ほとんど動いていない。
2015年3月11日

増水まであとわずか。ダンプカーは通れない。苦肉の策で掘削機を集めてリレー輸送。結構スリルがあり、一台が逃亡した。
2015年3月11日

既存水路はロシア(旧ソ連)の作った古い管水路。これをサイフォンとして改造中。一応下段を造成して水を送り、残りは4月に再開する。
2015年3月11日

ガンベリ農場D・E区。サトウキビの新しい目がうっすらと出かかっている。向こうが麦畑で、今年は約50ヘクタール。
2015年3月10日

上院議員のガンベリ訪問。このようなことは今までなかった。アフガンで珍しい女性議員で男勝り。シギ出身で、以前のガンベリ沙漠をよく知っている。ご主人はテレビ会社の社長でラグマン州出身、悪意にとれば選挙対策かも知れないが、ここは素直に好意を受け、誰とも仲良くする。ガンベリがカブールにとって身近な存在になってきたということだ。
2015年3月10日

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