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ミラーン村落、洪水期でも安泰
~稲作の拡大で水不足
ガンベリ記念公園の拡張~

日中の気温は40℃前後で、夜は35℃から下がりません。インドやパキスタンでは死者がずいぶん出ているそうです。今年はまだ雨が殆どなく、日本の梅雨がウソのように思われました。

洪水期の護岸が心配でしたが、どこも良く護られています。ミラーンの主要工事は護岸と堰で、これまでの経験の成果が試されていました。実際、いろんな形の護岸工事が全線2.6㎞で行われています。将来への広域展開に向け、自然と直接対峙する河周りの工事こそが、最大の技術上の悩みだったのです。

留守の間に、ガンベリ記念公園もずいぶん様変わりしていました。1ヘクタール(約3000坪)ほどの芝生の広場で、真ん中に噴水があり、綺麗な青い水が湧き出ていました。灼熱の陽光でも、四季咲きのバラが毅然として花開いているのには驚きました。記念塔も更に高くなります。ここに農業事務所があり、近くには蛇籠らの資材生産工房や職員の宿泊所が置かれようとしています。今後の展開で中心地となります。

6年前、砂嵐と熱風の中で、混じる砂粒をジャリジャリと噛みながら食事をした司令塔が、こんなに静かで美しい場所になるとは想像しませんでした。

現在、稲作が流域全体で活発になり、用水路の水量が不足気味になってきました。今年のような少雨の夏は、やはり取水量を増す以外に方法がありませんが、将来への課題の一つとして、取水門の改修と用水路の部分的拡大を考えています。

平成27年6月30日 記

ミラーンの最終護岸線と護岸方式。このうち最上流のU5は旧水制をそのまま放置して観察中。堰は秋になって砂州2まで延長予定。

上記地図のD18~D22(石出し水制)の彎曲部。浸食が最も激しい場所だったが、流れをかわして安定している。次図参照。2015年6月29日

流水は線状構造物に対して、直角に乗り越えようとする。上向き水制は、このため流れを河道中心へそらして岸辺を浸食から守る。

U1~U5(石出し水制)で、道路は完全に護られた。水制間に土砂が堆積し、それ自身が「根固め」の役を果たしている。2015年6月30日

水深が冬期3メートル以上だった場所は、わずか3ヶ月で堆積した土砂に埋めつぶされた。2015年6月29日

護岸堤防(兼交通路)巨礫間に密植したヤナギの成長。挿し木後約3ヶ月、ひたすら水やりが奏功する。強烈な陽ざしのため、水さえあれば成長が著しい。
2015年6月29日

ミラーン取水門付近(1200m地点)。酷暑の断食月中は、皆率先して水やりをする。涼しいのだ。2015年6月29日

2015年6月29日シーシャムの幼苗。上流から運ばれて発芽する。川辺で自生できないのは家畜が食べるからで、PMSでは水やりして作業地での自生を促す方針を採っている。2015年6月29日

取水門と連続堤防。侵食、溢水はもはや考えられない。現在が最高水位の時期なので、よほどの洪水でも耐える。2015年6月29日

調節池の現在。2015年6月30日

西送水門を下流側から見る。旧西ミラーン用水路はそのまま残し、浸透水のドレーン溝として機能、パイプをくぐらせてこの水路に注ぐ。2015年6月29日

西ミラーンの既存水路へサイフォンを潜って注ぐ。水量は十分。2015年6月29日

東ミラーンの既存水路へ注ぐ。正面から流れを受けるので、練石積みで防御。
2015年6月30日

東ミラーン送水門を下流側から見る。2015年6月30日

旧西ミラーン用水路。浸透水を集めて下流へ流れるドレーン溝となっている。
2015年6月30日

調節池から出る土砂排水路は約500m、少しづつ造成が進んでいる。排水路は以前のように洪水が流れない。子どもの水死事故が減る。2015年6月30日

ミラーン取水門を下流から見る。水位は60~75㎝で驚くほど安定している。
2015年6月30日

ガンベリ開拓。張り巡らされる排水路。干ばつというから水がないだけではない。不用意な潅水は湿地を発生させる。開拓は給水だけでなく、排水水路の整備が欠かせない。実は排水路の方がマルワリード用水路よりもはるかに長い。

建設中の排水路。湿地化で枯死しかけていた紅柳が復活し、浸透水のレベル(=浸潤線)を約2メートル下げ、潅水が可能になっている。2015年6月30日

ガンベリ記念公園。中央の噴水から記念塔を見る。2015年6月30日

記念公園広場は100m四方、約1ヘクタール(3000坪)の芝生で中央に噴水が置かれている。田圃のように見えるのは芝生の植付で、半年で美しい草地になる。ジャスミン、バラ、ザクロらの樹々が植えられ、植え込みを作る。
2015年6月30日

同タワーからの眺め。マルワリード用水路両岸の柳枝工が並木の列を作っている。緑と共に小鳥や昆虫など小動物が押し寄せる。2015年6月30日

同タワーからの眺め。家畜小屋と脱穀場。2015年6月30日

オレンジ園。移植後1年。やっと活着して小さな立ち木に見えるようになっている。結実は5~10年と言われるが、実際には台木として他の柑橘類が接ぎ木される。現在約7000本、成長してくると間引きして他の場所へ移植する。
2015年6月30日

水稲栽培。田植えから約1ヶ月。2015年6月30日

オリーブ園。移植後約1年。2015年6月30日

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