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ミラーン堰、河道閉塞と交通路確保で工事白熱

たびたびの報告で変わり映えしないようですが、この二週間で勝負がつくと考えています。

最大の難所と見られた砂州3への交通路があっけなく確保され、確実な一歩が始まりました。コンクリート構造物(土砂吐き1,2)の床面基礎造成も終盤となり、後は一瀉千里で進められると思っています。

例年だと、雨期が12月後半にやってきます。そうすると工事が著しく遅くなるうえ、事故が増えます。河の主要工事、特に堰造成は、何とか12月前半に収めたいと考えています。

なお、ベスード第一堰(カシマバード)の改修が昨日終了し、これでPMS全主力がミラーンに終結しました。最大の仕事は、

1.河道①の掘削拡大、
2.二つの土砂吐きの造成、
3.河道②の埋立てと石張り、
4.砂州2・3の処置;河床材料が弱い部分で籠または石張り、

以上が同時進行で進められています。

何れも物量戦で、とくに河道①掘削は、幅50m、長さ400mにわたり、推定16,000~18,000m³の土砂を除去します。完成すれば堰幅400m以上の斜め堰となり、一回の工事で造成する堰としては、記録的となります。しかし、いつもなら苦労する巨礫輸送は、半年以上かけてミラーンに蓄積していて、大幅に工期を短縮できると判断しています。

今夏の大洪水で地形が変わり、設計の変更を余儀なくされたときは、さすがに不安になりましたが、今のところ予定通り進められていることを報告します。設計の要点は既に報告した通りで、土砂吐きの工夫(=砂利堆積防止)がミラーン堰で見られる新局面です。これまでは、いかに強い堰を作るかでしたが、今回は「いかに堆積を防ぎ、河道変化に対処するか」が大きな焦点です。これによって、より完成度の高いものが期待できると思います。

上流、タンギトゥクチー堰の分流に手をつけなければ、ミラーン堰の維持は将来的に難しいと思います。来年度の絶対的な課題としていますが、行政との絡みもあるので、2016年4月から正式調査とし、それまで地形の観察や洪水被害の実態など、必要な情報を集めています。これについてはまた報告いたします。

ご協力いただいた山田堰土地改良区の方々に宜しくお伝え下さい。

平成27年10月9日 記

堰造成の鳥瞰図。交通路の確保と河道③B・河道②のしめきりがカギであったが、ほぼ開通した。

河道②、河道③Bのしめきりと交通路敷設。なお河道②の幅は実測で72m→85mに訂正。GPSはここでは不正確。河道③Bの通過水量を全量の25~30%で計算して設計している。連続堰での計測で、クナール河全体の冬の流量は500~600m³、夏は推定4,500~6,000m³、洪水時は7,500m³を超える。最終的な計測は堰完成後に行うので、とりあえずの目安です。堰造成後、700m地点を開放し、急勾配(落差2.0m/700m)を流し、河道①の土砂堆積を防ぐ。

交通路敷設で河道②の上流端を完全に塞ぎ、巨礫の石張りを進める。河道③Bのしめきりで干上がった河道②。砂州3の下流側で河床材料が弱く、じょうご状に深くえぐれているのが分かる。(以下、写真は全て2015年10月8日撮影)

洗掘が予想される場所は籠を埋設し、砂州の形状を保つ。

同上。幅10メートル以上で籠を埋める。

河道②の石張り予定線を砂州3側から見る。堰幅(越流長)は直線で85m、堰長(上下流の長さ)は20~30m、今期最大の焦点。

河道①の掘削作業風景を堤防側(約1000m地点)から望む。

土砂吐き(2)の床面造成の準備。作業員を大幅に動員して人海戦術、来週中に一気に仕上げ、11月中旬に通水予定。

土砂吐き(1)の基礎工事を完了。河床材料は大粒径の玉石で強靭、深さ0.6~1.0mをそのままコンクリート化。これも来週中に床面造成を開始。

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