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ミラーン堰、11月中に主要工事完了の見通し
~カシコート、サルバンド村上流域で渇水、飢饉迫る
洪水の後始末、補修・改修工事各所で進行~

一日一日が戦争のようでしたが、おかげで、かなりの速さで予定工事が進み、まもなく勝負がつきます。11月末までに決着をつけ、その勢いでカマ第二堰らの改修に集中できます。

話がミラーンばかりだったので、他の場所の様子も少しずつお知らせします。

ベスード第一堰(カシマバード)は事実上終わり、マルワリード用水路・D池の排水路改修も順調です。

少し心配しているのが、カシコートのサルバンド村(バルカシコート上手)です。上流の取水堰が大破し、今年の小麦栽培が不可能となり、不安が広がっています。取水堰はPMS・カシコート堰の上流約2.5㎞地点にあり、長年安泰だったと言います。それで、2013年にカシコート堰(連続堰)が着工した際、護岸以外で上流側に手を付けなかったのです。

今夏の突発的な洪水は、かなり凄まじく、一部で溢水し、古い取水堰が壊れて機能しなくなっています。本格的な工事は不可能ですが、「一時的に小麦の収穫だけを護ってくれ。人員が必要なら全村民を動員する」と、自治会から涙ながらの嘆願があり、来週調査に行ってきます。同村は小生が見てきた村の中でも、最も貧しく、誰も近づきたがらない所です。こういう所を放置しては、「緑の大地計画」の意義が半減します。何とか救済措置をとりたいと思います。

いろんな政治的な意見・論評が行き交っていますが、政情安定を待っていれば、みな死に絶えてしまいます。この局面でどんな評論も美辞麗句も虚しい。
やれるだけやります。

以上の次第で、広大な戦線になってしまいましたが、皆様のご協力と職員の奮闘のお陰で、何とか事は回っています。

平成27年10月16日 記

ミラーン堰作業地全景。河道③Bは取水門より約700m上流で閉塞され、浸透水だけで流れができている。2015年10月16日

河道③Bの閉塞部。流れるのは全て浸透水で、砂利の下をくぐってくる。クナール河では一般に河川敷は、表面の薄い砂層直下に玉石の厚い層があり、流速(掃流力)に比例して粒径の大きなものが露出している。落差は閉塞部から100mで1m以上あり、浸透水量が多い。

河道②の概念図。敷き粗朶の部分を入れると、河道幅は約120m、浅い流れは粗朶(ヤナギ)を籠の隙間に敷きつめ、河床材料が弱い砂州辺縁に籠を埋設、石張りとのつなぎ役にする。

河道②の石張り。正確にレベルを取り、緩傾斜を付け、全体に弧状を描く。
2015年10月16日

石張りと砂州との接合部の処置。籠を井形に組み、空いたところに玉石を詰めて籠で覆う。2015年10月16日

周辺砂州の高水敷部分の河床材料。洪水時に激流で洗われた形跡がある。
2015年10月16日

石張り作業を対岸(ミラーン堤防)から見る。2015年10月16日

土砂吐き(2)の現在。数日後に床面のコンクリート打ちが行われる。床面672㎡、河道①の河床底から約0.4m低く、急勾配で土砂を流す。冬(渇水期)の水量は堰板で調整できるようにしている。板を置けば冬の交通路としても利用できる。
2015年10月16日

ザミール・グルのチーム。作業場では配筋図が読める数少ない現場監督で、カンレイ村チームと勢力を二分する構造物建設グループ。実際には、蛇籠編み、コンクリート管制作、蛇籠設置、植樹、稲刈りらの農作業と、何でもやる。2015年10月16日

土砂吐き(1)の造成。多量の浸透水で作業が難航していたが、河道③Bの閉塞で容易となった。2日遅れたが、既に二段目の鉄筋網を組む段階。コンクリート床面積532㎡で、決して小さくはない。2015年10月16日

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