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ミラーン堰、12月1日に河道開通予定
~バルカシコート緊急工事、全カシコート地方の支援開始を決定
マルワリード用水路沈砂池の改修進む~

当地は11月になって急に冷えてきました。このところ断続的に降雨があり、農家は一息ついています。

今秋・今冬の最大の工事、ミラーン堰は、一時はどうなることかと思いましたが、山田堰土地改良区の協力もあって、土砂吐き部分の詰めの設計が成り、着々と建設が進んでいます。大きな仕事は11月中に山を越すと見ています。

同時進行でカシコート=マルワリード連続堰の上流、浸食された堤防の改修、更に上流のバルカシコート堰の臨時工事が進められています。バルカシコートはPMSの責任ではありませんが、河道変化で取水困難に陥り、住民がパニック状態になっていました。カシコート全域を視野に入れるなら将来的に不可欠と見て、今冬の小麦収穫を保障し、村民と一体になって臨時工事を始めています。

PMSでは、「公的筋の治安改善を待っていては、カシコートの全面復興は永久に不可能」と判断、地域自治会と団結を強め、棚上げになっていた、①クズカシコートからゴレークに至るまでの9.9㎞の用水路建設、②サルバンド村女子校舎建設、③タンギトゥクチー堰対岸護岸工事、④バルカシコート堰建設を、来年度の最大懸案とすることにしました。これによって、ここ数年以内に、一挙に「緑の大地計画」領域の残る部分を隈なく片づけます。

タンギトゥクチー方面の洪水防止措置とカマ第二堰の第三次改修は、その後(12月初旬)に計画しています。マルワリード用水路D沈砂池の改修も山を越えつつあります。こうして私たちが計画する「緑の大地計画」の領域は、細かいケアを続けながら、徐々に完成に向かっていると感じています。

ジャララバード北部の住民たちも、以前のように殺気立つことなく、PMSに絶対の信頼と忠誠を置いているように見えます。各自治会との絆は年毎に強くなっています。その日の糧を得ることさえ努力が要る状態では、もう政情だのテロだのという話は、どうでもいい雲の上の出来事で、人々に縁遠いです。

皮相な政治的混乱を述べればきりがなく、当方はつまらぬ争いに惑わされず、確実に事を進めます。

今年の工事も広域で多岐にわたりますから、ご理解のため、ひとつひとつ報告を送ります。

平成27年11月15日 記

堰の全幅は444m、三つの土砂吐きを持ち、(1)と(2)はコンクリートで造成、堰板で開閉して冬の流量を調整可能。砂州3は約300m四方、河道AとBを分ける最重要点。広く全体にヤナギと籠を使って砂州を固定、洪水時の浸食(=河道変化)を防ぐ。現在、河道③Bを閉塞して工事中。

以下、予想流量から決定した各部のレベル(取水門床面=0)を平面図上に表わす。赤字は取水門床面から低い水位。河道③Bは急流、河道①②に分割。

以上を模式的に示す。堰は河道を三つに分け、それぞれが砂利吐き(土砂吐き)を持つ。砂利吐き(1)(2)は水量調節可能な鉄筋コンクリートで交通路を兼ねる。

堰全景を監視塔から望む。2015年11月15日

完成近づく土砂吐き(1)。2015年11月15日

河道掘削は今週中に終了予定。砂州3の柳枝工が見える。2015年11月15日

河道③Bのしめきり部。1メートル以上の落差がある。切れば主要河道を二分、大量の水が流れる。二週間後。2015年11月15日

土砂吐き(1)と取水門の位置関係を示す。2015年11月15日

土砂吐き(2)の前面。コンクリート床面の前後は、5~6mの幅で巨礫が床面レベルに連続して敷かれる。2015年11月15日

同土砂吐きを側面から見る。2015年11月15日

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