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10月からの工事予定地。対岸地帯は不適切な取水で荒れ放題であった。同地域760ヘクタールのうち、80%(500ヘクタール以上)が耕地として利用できず、住民の半分以上がパキスタン側に難民化している。同地は小さな分流を引き込んで灌漑されていたが、夏の取水時に洪水を避け得ず、次第に荒れていった。PMSとしては、対岸のシギ、ミラーンの安定の上でも、適切な護岸と取水設備が不可欠と見ている。回復すれば、以下の図の領域(推定人口約2万人)が復活する。

対岸調査。至る所に小さな洪水浸入と表土流失の跡がある。実は、これは安易な取水方が招いた事態でもある。2016年2月2日

荒れ果てた無人の荒野。カチャレイ村の元耕作地。2016年2月2日

表土の流失。対岸はシェイワとケシュマンド山系。2016年2月2日

同、冬の取水部。これは危険だ。この方式は旧ミラーン堰と同じ。間に合わせに低地に水を引き込むが、夏には洪水進入路となる。その結果、河岸線が年々後退して耕地が荒れていく。水番(ミラバン)が掘削機で安易にやることが増えている。農地の荒廃は自然災害だけではない。2016年2月2日

上の写真の下流側。夏は洪水進入路になり、表土を洗い流し、年々拡大する。
2016年2月2日

最上流にある取水口の残骸。カチャレイ村とコーティ村に注ぐもの。河床が低下して機能しなくなっている。村人の話では、6年前に某国ODAが作り、数年で機能しなくなったという。写真右は岩盤で、対岸は大きな単砂州。取水口としては理想的な場所だが、作りに問題がある。2016年2月1日

同取水門の一つ。数百ヘクタールを潤せるものではない。小さい理由は夏の洪水流入を恐れてのことだが、スライド門も機能しなくなっている。2016年2月1日

物見高いは人の常、子供は好奇心が強い。PMSの名前は知られていて、みな挨拶する。2016年2月1日

基礎や根固めがない堤防の結末。堤防に沿った洗掘で河道が発生している。やっつけ工事は驚くべきだが、きちんと結果を見て追跡する者がいないからだ。住民は怒り心頭で、こうして不信を募らせていく。2016年2月1日

対岸砂州から取水口予定地を見る。川幅は約120m、岩盤沿いの河道は深い。砂州は単砂州で、場所としては理想的。2016年2月1日

大きな仕事になりそうだが、職員達は皆驚かなくなっている。2016年2月1日

対岸の砂州は大きく、安定している。砂州の向こうは涸れ川で、夏に浅い流れが発生する。シギ地域から、冬は歩いて渡れる。たくあん石ほどの玉石が河床にあり、基礎はかなり強い。対岸からの石材輸送がカギになりそうだ。両岸からの工事が確実だ。2016年2月1日

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