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遅い降雨でクナール河増水、しめきり堤終局
~ミラーン堰安定、対岸の調査を終了して用水路・堤防計画地の線引きを開始~

平成28年3月14日 記

この一年半は堤防建設が最大の工事となった。ミラーン堤防は国道の保護(U水制群400m)を加えると2,780m、対岸しめきり堤を加えて4,680mとなる。小さなPMSにとっては、記録的な工事である。だが、これによって対岸の広大な地域に恩恵が及ぼうとしている。

分流発生部の表法。かさ上げと同時に、石出し水制で根固めを施し、法面は1:2の傾斜で巨礫を積む。天端の高さは、とりあえず冬の低水位から最低3メートル、夏まで観察を続けながら、少しずつ必要なかさ上げを行う。2016年3月10日

しめきり部の現在。安心したのか、村民は徐々に帰り始め、使える耕地の整備が始まっている。2016年3月10日

同部の裏法。段状に腹つけしながら厚みを増す。2016年3月10日

予定される堤防、用水路、交通路の幅をとる(次図参照)。一部は現在の耕地にかかるが、自治会との協約でトラブルはない。
2016年3月10日

予定される水路・堤防の位置関係 (2016年秋着工予定)
堤防は天端を10メートルとり、交通路を確保。表法は主に水制を利用して根固め工を行う。裏法に主幹水路を置き、夏の浸透水を受け、ドレーン工を兼ねる。旧自然流路の低地を利用して主幹排水路とする。主水路はソイルセメント・ライニングを施し、両岸はふとん籠工と柳枝工の組み合わせで行う。植生工は、表法にヤナギ粗朶、裏法にシーシャムを植え、樹林帯を置く。現在、これに基づいて用地を確保している。

堤防天端の高さを決めるのは案外難しい。当たりはずれの少ないのが岩盤に刻まれた自然の刻印。写真はしめきり堤上流端の対岸のC岩盤。普通、村民の話と併せて周囲の状態を見て決定する。2016年3月10日

しめきり堤上流部の洪水の痕跡。まるで要塞の護りのように、幾重にも洪水を避けようとした防御線がある。コーティ村。2016年3月10日

しめきり堤下流端から見るベラ村。分流発生で島として孤立、最も激しい被害を受けた。ベラ村の対岸がミラーンに相当する。ユーカリの樹林帯は村民が自ら設けたもので、周囲が流されずに残っているのは偶然とは思われない。2016年3月12日

対岸の測量で、ミラーンとの位置関係が明確になりました。概念図ですが、これがより正確です。砂州4と5は癒合していて、河道の痕跡で分かれているだけです。かなり激しい河道変化が起きていて、2014年秋とはずいぶん変わっています。今後、これを元にして報告書を記載します。(なおU水制群のうち、U5は元のままで、U1~U4(400m)がPMSの工事です)。

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