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カシコート、最終測量を終え、工事が本格化
~水門基礎を完了し用水路掘削、堤防造成を開始~

ほぼ最終調査と計測が終わり、現場工事が活気を帯びてきました。
やはり、最も気を遣うのは河川の扱いです。今回は綿密な調査を重ね、2010年並みの大洪水なら被害を受けにくいように設計しています。

目玉は、何といっても総延長が600m、石張り面積が約3万㎡の斜め堰です。分かりにくいかもしれませんが、計画書のまとめを送ります。今後の参考にして下さい。河周りの工事の概要も、添付の書類で述べてあります。

準備は整い、来週から作業員たちが続々と入り、用水路や水門の建設が始まります。忙しいですが、地上は何とかなります。問題は河の水の動向で、今冬も相当な努力が要ります。難工事ですが、ジャララバード事務所と現場が一体になった仕事能率はすばらしいものがあります。

まだ暑いうえ、雨が一滴も降りません。しかし、PMSの建設した取水口は安定しており、農民に不安はないようです。次回、ガンベリ沙漠開拓の様子をお知らせします。

みなさんもお元気で。

付、「カシコート連続堰堤と洪水対策」

平成24年10月12日 記

カシコート取水口と堰造成予定地を対岸の上流から見る。
右岸からマルワリード堰が中州にかけられていたが、中州そのものが大洪水で流失した(2010年)。
護岸面と中州上流端が残り、中心流を成している。流失部分に緩傾斜で河床材料を敷き、巨礫で覆えば、必要十分な堰き上げを得る。
主流は依然としてマルワリード側にあり、カシコート取水口は、同一標高に置かれる。
高水位の夏は左岸カシコート側の高水敷に水があふれ、浅い流れを作る。
2012年10月7日

同部をカシコート側から見る。
両岸の取水口を半円形で結べば、クナール河全体を通過、越流幅600mの連続堰となる。
2012年10月8日

10月6日までに最終調査を完了、同時に必要な重機・ダンプカーが集まり、現場は活気を帯びている。
仕事量は膨大だが、春の河道変更工事が余りに大きかったので、みな何とも思わず、黙々と仕事が進められている。
河の埋め立てと異なり、積み上げただけの量が見えるのも、励みになる。監督や運転手は、みな慣れており、仕事のピッチが速い。
写真は取水口下流域の「砂吐き」の斜面の造成。掘削で得る礫石は強靭、これを埋め立てに使う。
2012年10月9日

取水門の基礎うち。
同部は粒径の大きな礫石層が巨礫層の上にある。そのままコンクリートの素材で、セメント量を十分にとり、深さ1.5m前後を撹拌してコンクリート化する。
急流のクナール川沿いでは、これで岩盤に匹敵する強靭な基礎となり得る。
2012年10月9日

厚さ40㎝の鉄筋コンクリート床面を基礎の上に作る。
来週から建設チームが到着、水門建設が本格化する。
2012年10月10日

同時進行で夏の旧河道の移動、堤防基礎の造成、主幹水路掘削が行われている。
来週に更に2チームが水路造成を開始する。
2012年10月11日

洪水時に溢水した場所は、例外なく河幅が狭い場所だ。
春の工事と同様、河道狭窄部を十分に幅広く解放、洪水流を広い河川敷に導く。
2012年10月11日

取水口から400m上流。2012年8月の大洪水の流入地点。
ただ堤防を高くすれば良いものではなく、溢れる水の逃げ道を作ることだ。
同地点は川幅著しく狭まり、粒径の大きな礫石が堆積している。これを深く除去して堰上がりを防止、掘り出した材料で堤防の基礎を作る。写真左手に砂利堆積が見える。
2012年10月11日

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