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カシコート、工事区間4㎞に達す
調節池の造成を開始

2月が終わりました。今週は風雨と寒波で仕事のペースがやや鈍りましたが、例年に比べれば、速いペースで進んでいると思います。

カシコートは、過去PMSが施工した中で、最も難工事だと思います。昨年2月に準備工事を始めて一年が経過しました。主要河道の変更、連続堰、そして4㎞に迫る護岸、1.8㎞の主幹水路と、考えるだけで気が遠くなりそうです。それでも、主幹水路はライニングを終え、下段の蛇籠工は1㎞を超えました。工事の先端は調節池に達しています。今週から送・排水門の基礎うちが始まり、道路横断暗渠は数日後に完成します。

シギ分水路は3つ目のサイフォン工事が始まり、来週中に半ばを超えます。

一番気を遣うのは河周りで、洪水対策が焦点になってきました。この結果、作業現場が伸び切り、端から端まで4㎞に達しました。シギ分水路やガンベリ沙漠開拓も同時進行、広大な戦線となりました。でも、各部署の動きが機敏、それぞれが工夫を凝らし、もはや職人芸です。皆が機転を利かし、無駄のない動きになっています。

「緑の大地計画」から丁度10年、振り返れば、過去の蓄積が実を結びつつあるのを実感しております。現場が技術的な経験を積むだけでなく、ジャララバード事務所の改善が目覚ましく、資機材の調達・輸送、安全対策、住民交渉、行政との折衝など、以前に比べれば夢のようにスムースです。

これは、ジア先生を筆頭に、徹底した「現場中心態勢」を取っているからです。特に河川工事は不確実な要素が多く、皆が一丸となって変化に対応せねば、とんでもないことになります。

このペースで進めば、4月下旬にいったん水を流し、用水路は残余の工事で、植樹と二段目の蛇籠工を開始できます。

まだ寒さが残る季節で、河沿いは冷えますが、一同、はつらつと仕事を進めております。

皆さんもお元気で。

平成25年2月28日 記


<資料:カシコート取水口上流部の状態と措置>


1.8㎞中1㎞を超えつつある下段の蛇籠工。カシコート組:1、ブディアライ組:2、計3チームが働く。カシコートは「緑の大地計画」の初期から、マルワリード用水路建設に従事した者が多い。以前に比べ、組み方が早く綺麗になっている
2013年2月28日

焦点となっているサルバンド村上流の護岸。2010年の大洪水前に出来た所は、浸水はしたが大きな被害を受けなかった。村民自ら行い、組み方も綺麗だ。100m毎に蛇籠で透過水制を置いている。下流端数十mが壊れて進水した。村民の恐怖は洪水で、難民化した者が多かった
2013年2月25日

帰ってきた村民たち。PMSが護岸工事を上流部に伸ばしてから、更に多くの家族が連日、帰ってきている。境界が分からなくなった所有地もあり、住民同士で話し合いが進んでいる。中には、20年ぶりに村に帰った者もいる
2013年2月25日

洪水進入部。取水門から約1200m地点。PMSとしては、簡易措置で村民に協力、洪水進入部の護岸を手伝う。(別資料参照)斜面の巨礫を見ると、相当の流速の洪水が流入している
2013年2月28日

河原から得た砂利は、「砂利」というより、たくあん石。これを護岸斜面に敷いて柳枝工を施せば、かなり強靭な補強ができる
2013年2月28日

河から得た砂利で交通路を敷き、蛇籠護岸の表法に置く。交通路を少し高めにとれば、そのまま護岸壁となる。蛇籠列と交通路との間に溝を残せば、そのまま浸透水処理のドレーンとなる。柳枝工に使うヤナギの枝5000本を、急きょ調達し、早ければ来週末から始められる
2013年2月28日

取水口から800m地点までの掘削は、間もなく完了する。同地点は砂利堆積が著しく、下流側の狭窄と共に、上流側の堰上がりを起す一因となっていた。幅60~65mの掘削が水門前まで800m続き、おそらくここで分流が発生する
2013年2月25日

掘削上流端の水面から堤防の天端までの高さは3.4m、掘削された河道の水面からでは4.1m、川幅を広くする措置と併せれば、相当な高水位に耐える
2013年2月25日

取水口から1700m地点の道路横断暗渠が来週中に完成する
2013年2月28日

沈砂池(調節池)の造成が始まった。主幹水路は写真左の既存水路に連結される。排水路は旧主流に沿って流され、3.5㎞先でクナール河に戻る。この地点はECの団体がおそらく洪水を避けるため、閉塞して湿地化したもの(2003年)。カシコートでは、入り会い地としてPMSに一任されている
2013年2月28日

カマ地区対岸のベスード護岸1700m地点の現在。二年前の工事では、直進する河道が浅くなり、洪水進入が写真手前の河道(A)から起きていた。不連続提を使って直進河道の河床を下げ、洪水進入を避け得た。だが昨年、今度は手前の河道(A)が浅くなりすぎ、取水困難に陥った。そこで堰き上げ措置を行い、バランスよく流れるようになった。河道の変化は絶えず起きるが、根気よく続ければ、普通次第に安定する
2013年2月26日

タプー堰。上記1700m地点の処置で安定灌漑ができるようになった。かつては洪水進入地点。取水部はどこでも洪水を引き込む。堰の工事は周辺の河川工事と切り離せない
2013年2月26日

シギ分水路第2サイフォン。小水路といえども、一人前に多くの暗渠をくぐる。260mの洪水路をくぐらせた職員・作業員は、もう驚かない。時間をかければできる。皆、そう信じて迷いがない
2013年2月24日

伸びる水路とシギ住宅群。この3年でシギ下流域はガンベリ方面に住居を移動した。用水路は急斜面を下るので、練石積みで作る。最終点まであと800m
2013年2月24日

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