PMS病院検査室のある一日
PMS臨床検査技師
坂尾美知子
ペシャワール会報80号より
(2004年07月07日)
坂尾検査技師
いつものように全員での朝礼、その後25名ぐらいのメディカルスタッフだけのミーティング、そして検査室のミーティングで一日は始まる。

メンバーは、チーフのドクター・ナキーブ、ヤルーラ、イムラン、坂尾にレントゲン技師のカユム、先週からババジャンが加わって総勢6名である。検査室はこの2年で9名の退職者が相次ぎ、アフガニスタンの3ヵ所の診療所に満足に技師が派遣できない状況が頻発している。地元の人を採用して診療所勤務ができるよう研修するということで、ババジャンがダラエヌールからやって来た。

検査室は外来診療開始に少し遅れ9時半ぐらいから忙しくなってくる。受付は、検査を受けに来る人、採尿したコップを持って来る人、内視鏡の予約を取る人、結果をもらいに来る人、ピーク時はかなり混雑する。結果はその日の内に順次返していく。患者は半数ぐらいが小さな子だが、採血時もおとなしい子が多い。泣いても暴れる子はほとんどいない。

採血中のスタッフ
受付のヤルーラは上手に患者をさばき、遅れている検査があれば強引にスタッフをせかし、便が出ない人にはその料金の払い戻しの手続きもする。イムランは外来の男性の心電図依頼があると尿検査の合間を縫って一階に降りていく。時にはドクター・ナキーブも心エコーのために一階に行く。私は検査室から出ることは殆どない。

このところ調子の悪い自動血球計測機が悩みの種だ。一週間前から検査室は午前中だけクーラーを使用しているが、それでもやっと30〜31度。原因は暑さと部品の劣化だが、部品の値段があまりにも高すぎて購入を逡巡している。
ババジャンも終わった伝票を運んだり、染色や尿検査などできることを一生懸命手伝いながら合間に顕微鏡を覗いている。

検査中のスタッフ
今日は新入院患者が3名と少なく検査室も久しぶりに12時半に午前の仕事が終わった。イムランは、午後からオフ。彼はナキーブがアフガニスタンの水路工事用ワイヤーの買い付けで10日間ほど検査室を留守にしていた間、宿直・日曜勤務と休みなしで働いたので、午後から4連休で遠くの実家に帰って行った。

午後、1日の仕事も終わり、清掃の人が検査室の廃棄物を焼却炉で処理するのについて行く。検査室では使い捨ての注射器やメスを使用しているが、血液汚染された使い捨ての医療器具が市場に出まわる事件がパキスタンで問題になったそうだ。医療廃棄物はその部署で最後まで確認するように言われている。

他に検査室には診療所に行っているハビーブ、アフガンの2人がいる。ハビーブは病院にいる時は検査室の仕事以外にキッチンの仕事、内視鏡も手伝ったりと大忙しである。アフガンは家族をペシャワールに置いて1年の3分の2以上をアフガニスタンの診療所暮しだが不平も言わず気持ちよく働いている。今日は久しぶりにスタッフも揃い、落ち着いた普通らしい一日だった。