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カシコート、低水位期の河川工事を終了
(堰工事10月に再開、沈砂池までの送水を5月初旬に予定)
シギ送水路半ば

新緑の季節となりました。ヤナギの若芽が日毎に伸び始め、小麦の緑が深くなり、あと一カ月ほどで刈り入れの季節です。

雨の日が増え、河の水かさが急に上がり始めました。間もなく低水位期の河川工事ができなくなります。それでも、一年間に及んだ護岸と堰の工事は終局に向かっています。増水期の夏は、上部施工を続け、護岸下部と連続堰の最終工事は、10月の低水位期を待って仕上げが行われます。

調節池・排水路(3.5㎞)造成、主幹水路(1.8㎞)建設は着実に進んでおり、5月初めにいったん水を流す予定です。

予想外に苦戦したのは、カシコート取水門上流、洪水浸入部の処置でした。予定の護岸線は400mから1570mに延長され、水門下流側約2.4㎞を併せると、約4㎞の長大なものとなりました。洪水浸入部は、流水の逃げ道を広く開放し、約300mにわたって小高い堤防を築きました。堤防というよりは横長い丘(報告書②P1)で、両側に植樹を行って、万一に備えました。

この地で日本で行われている防潮堤のような工事は、財政的にも技術的にも不可能です。また、治水思想が異なります。自然を力ずくで抑え込む考えはありません。大洪水のレベルと言っても、それ以上のものがいつ来るか分かりません。要は、洪水とも同居することです。時間が切迫していたこともありましたが、最悪の場合でも洪水の「紳士的な進入」を許し、被害を最小限に食い止めることはできます。

このところ日本では、自然を思い通りに抑え込むことが可能であるような迷信が、流布しているように思えてなりません。防潮堤に止まらず、インフルエンザ流行時のタミフル騒ぎ、口蹄疫流行時の大量屠殺、無害な寄生虫まで絶滅させる駆虫薬、ゴルフ場の芝だけを守る枯葉剤、などなど、外から見ていると、およそ考えられない事が多すぎるような気がしています。人間もまた自然の一部です。水の流れを見ていると、やがて自然がお灸をすえる時が近づいているような気がしています。

さて、シギ灌漑の方は、洪水路横断のサイフォンを開通したものの、わずか1.6㎞の分水路ですが、鉄砲水の通過地点がやたらに多く、工事はやっと半ばに差しかかっているところです。しかし、開通は時間の問題だと考えています。

平成25年3月15日 記

シギ分水路は鉄砲水通過路が多く、第3サイフォンを終え、現在1㎞前後を通過中。小さい割に手間どったが、半ばを超えた。
(3月8日報告書、2枚目の写真を下流側から見ている)
2013年3月12日

クナール河増水。造成中洲(堰)は間もなく水没する。中洲の中を貫通する河道③のルートは、河に決めさせ、10月から最終工事に入る
2013年3月13日

大洪水(2010年)時に堰き上がりを起した橋脚の場所を更に開放する。水制間に堆積した土砂を除き、護岸線を更に後退させ、川幅を広げる。工事前は、写真右側の橋脚まで堤防がせり出し、川幅を著しく狭めていた(2012年3月23日報告書参照)
2013年3月13日

昨年春の工事による川幅拡大と河床低下。これによって、橋を通過する場所の流水断面積が35~40%増し、同部からの溢水の危険性は遠のいた。橋の撤去を行政に提案しているが、今の所その動きがない
2013年3月13日

カシコート主幹水路の到着点、道路横断暗渠ができ上がり、間もなく交通路を回復する
2013年3月13日

道路横断暗渠は、十数mを経て調節池につながる。先に送水門と排水門を建設し、池堤防の埋立工事が来週から始まる
2013年3月13日

送・排水門の基礎工事は終わり、鉄筋の組み立て作業もほぼ完了した
2013年3月13日

主幹水路のライニングは1300mを超え、急速に進んだ
2013年3月13日

ライニングを追いかけながら下段の蛇籠工が進む。競うようにピッチを上げている
2013年3月13日

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