英語交じりのウルドゥー語で苦戦しています
PMS検査技師
坂尾美智子
ペシャワール会報74号より
(2002年12月18日)
虫卵や原虫の標本
今年の7月末からPMS病院で検査技師として働いています。

日本で実施されている検査項目の大半が当検査室でも行われていますが、一つ一つの内容や方法は全く違っています。例えば糞便検査は日本では癌検診として潜血反応がメインですが、こちらでは虫卵や原虫の検出がメインです。そして又陽性例がとても多く、毎日何かの虫卵や原虫を見ます。血液検査もマラリア原虫の検出が主要な検査となっています。他にも一般的な白血球数やヘモグロビン(貧血)などの検査もしています。

日本では殆どの病院が生化学や血液はオートメーション化されていますが、こちらでは現在は一つ一つ手でやっています。ザーリーピペットを使おうとして老眼の進行に驚かされ、早速バザールで遠近両用眼鏡を700ルピー(約1,400円)で買い求めました。

英語力には元々自信がなかったのですが、現地に来てみて自らの語学力不足に落ち込む日々です。検査室はパキスタン人2名、アフガン人8名と私の構成で、検査室の日常会話はパシュトン語で進んでいますが、私は怪しげな英語交じりのウルドゥー語で苦戦しています。しかし検査室のスタッフがなんとか聞いてあげよう、会話しようという姿勢で接してくれるのでとてもありがたいです。
検査中の医療スタッフ
最近、朝のミーティング後の学習会が定着してきましたが、英語中心になり現地スタッフでも英語力の差で苦労しています。現地の教科書は文字ばかりで親切な本ではありません。自国語の本となるとさらに貧弱です。日本ではカラー写真をふんだんに使った自国語の専門書で学習できますが、それはとても恵まれたことだったのだと知りました。ガラス製品なども壊れやすく、ちょっと力を入れただけで割れたり、ものさしであるザーリーピペットが狂っていたりとなかなか油断できません。

とまどいの中のスタートでしたが、気のよい現地スタッフに囲まれ楽しく仕事をしています。中身のある会話ができれば更に楽しく充実した仕事ができる筈と努力しているのですが……。いつかこの実が実るときが来るだろうと信じたり、諦めたりを繰り返している間に、暑い夏から寒い冬に変わりました。あの美味しい美味しいマンゴージュースに出会える時には少しは進歩しているかしら。