2002年度の医療事業報告
ペシャワール会現地代表・PMS(ペシャワール会医療サービス)総院長
中村 哲
ペシャワール会報76号より
(2003年07月09日)
2002年度は、総計158,103名が診療を受けた。カブール診療所は6月19日に閉鎖、東部各診療所を改築または新築して備えた。援助ラッシュの影響で、職員29名が高給で他団体に引き抜かれてカブールに移り、人員不足で診療に大幅な支障を来たした。診療数は前年度の半数に落ち込み、検査技師もまともに送れぬことがあった。

大半のアフガン難民診療機関がカブールに移転したが、生活できずにUターンした難民たちがペシャワールに溢れている。このあおりで、ペシャワール基地病院では、これらの難民患者が増加した。

なおハンセン病関係では、州政府の結核・ハンセン病局と協力関係が進んでいるが、最初の予想に反して、患者はPMS診療所を訪れないので、大幅な方針転換が痛感されている。

また、パキスタン・ラシュト診療所は道路整備が進み、既に「辺境」とは言いがたくなったので、更に奥地に向かう方針が探られた。コーヒスタン診療所は治安の悪化と人員不足で、当分再開の見通しがない。

各診療所の治療数(2002年度)
国名 パキスタン アフガニスタン  
地域名 ペシャワール市内 チトラール地域 コーヒスタン地区 ニングラハル州 クナール州 ヌーリスタン州 首都・カブール市  
病院・診療所名 PMS病院 ラシュト診療所 コーヒスタン
診療所
ダラエ・ヌール
診療所
ダラエ・ピーチ
診療所
ワマ
診療所
診療所5箇所 総数
診療数 54,483 3,508 1,338 36,144 32,013 12,643 17,974 158,103
外来患者総数 46,062 3,508 1,271 34,572 30,683 11,786 17,446 145,328
【外来患者の内訳】
一般外来
45,080 3,440 1,258 30,608 28,142 11,370 17,352 137,250
ハンセン病 158 10 0 0 4 1 6 179
てんかん 458 4 7 183 75 3 1 731
結核 7 2 6 0 0 0 0 15
マラリア・
リーシュマニア
359 52 0 3,781 2,462 412 87 7,153
入院患者総数 1,841 1,841
【入院患者の内訳】
ハンセン病
2,188 218
ハンセン病以外 1,623 1,623
外傷治療(延べ) 6,580 67 1,572 1,330 857 528 10,934

上記表の、アフガニスタン首都カブール市内5診療所の詳細な治療数
(* 2002年6月19日までに全て閉鎖)
国名 アフガニスタン
地域名 首都・カブール市  
診療所名 チェルストン ラフマンミナ カールガ ダシュテバルチー カラエザマンハーン 総数
診療総数 1,152 2,058 4,964 5,540 4,260 17,974
外来総数 1,114 1,929 4,854 5,446 4,103 17,446
【外来の内訳】
一般外来
1,102 1,916 4,832 5,427 4,075 17,352
ハンセン病 0 0 0 5 1 6
てんかん 0 0 0 1 0 1
結核 0 0 0 0 0 0
マラリア
リーシュマニア
12 13 22 13 27 87
入院総数
外傷治療(延べ) 38 129 110 94 157 528
* チェルストン診療所とラフマンミナ診療所は、2002年4月のみの1ヶ月間、カールガ診療所とダシュテバルチー診療所とカラエザマンハーン診療所は2002年4月・5月の2ヶ月間内での診療実績です。


職員:115名(うち日本人5名)
医師…18名
看護(助手)…21名
検査…13名
ワークショップ…2名
薬局…2名
レントゲン技師…1名
事務…13名
運転手…13名
門衛…11名