灌漑事業
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灌漑事業

灌漑事業は、2001年、医療事業と並行し、水源確保事業として開始。用水路建設に着手したのは2003年。長期的な復興事業を展開し、現在に至ります。

記録

カマ堰と、朝倉の山田堰
2つの堰の比較写真をご覧ください»
*動画有り
マルワリード用水路
マルワリード用水路の衛星写真»
映像アルバム
水路工事の様子をビデオ撮影しました»
ワーカー現地報告
2001年~ワーカーや中村医師による現地での日々の記録です»

炎天下の中、地域の作業員を労う中村医師とジア医師 (2018年)
炎天下の中、地域の作業員を労う中村医師とジア医師 (2018年)


灌漑事業のあゆみ

1999年

1999年から空前の規模で旱魃が進行、豊かな穀倉地帯がことごとく沙漠化し、膨大な数の難民が発生しました。
2002年

アフガニスタン東部における長期的農村復興計画「緑の大地計画」»を発表しました。2002年事業報告書はこちら»
2003年

2月8日 クナール河流域における灌漑用水路、アーベ・マルワリード用水路(以下マルワリード用水路)掘削計画を立案しました。
3月19日 マルワリード用水路の起工式が行われました。
11月2日 用水路建設の工事現場を米軍ヘリが誤射しました。幸い負傷者はありませんでした。(米軍は日本外務省を通じ正式に謝罪)
5月13日 マルワリード用水路建設工事を開始しました。2003年3月事業報告書はこちら»
2004年

3月7日 マルワリード用水路取水口工事を完了し、部分通水を開始しました。
4月D沈砂池(取水口から1.6km)の造成に着工し、護岸のためのコリヤナギを両端に挿し木(約6km地点まで)しました。会報82号"忍び寄る混沌"にて柳の写真を掲載»
2004年事業報告書はこちら»
2005年

4月6日 着工から2年、クズクナール地域において灌漑用水路による第一次灌漑を開始しました。(第一次灌水の際の中村医師の報告へ»)
5月19日 灌漑開始を祝い、ナンガラハル州副知事らを招き記念式典を行いました。 式典をアフガンのテレビ局三局と、ボイス・オブ・アメリカが全土に放送しました。
2005年事業報告書はこちら»
2006年

4月 ブディアライ村まで通水しました。2006年事業報告書はこちら»
2007年

第一期工事13kmが完工。2007年4月23日、第一期工事完了と第二期工事の鍬入れ式セレモニーを開催しました。
 既存水路(シェイワ、ベスード、シギ)の 改修支援をしました。通水の様子は、会報91号"4年越しの悲願、用水路第一期13km遂に完成"»にてご覧ください。2007年4月事業報告書はこちら»
造成中(2007年03月)農地が回復した同地(2009年03月)
造成中(2007年) → 農地が回復した同地(2009年)
2008年

井戸事業を廃止し、水路事業(自立定着村の構想)に統合しました。
自立定着村(=新 試験農場)について

水路事業に携った農民や職員が、自活しながらその経験を活かし、 長い年月を要する用水路の維持・管理を世代から世代へと繋げていく計画です。 計画内容は、会報特別号 "ここにこそ動かぬ平和がある"»をご覧ください。 2002年4月からモデル地区としてダラエヌール渓谷の診療所近くに 試験農場(=パイロットファーム)を置きました。 マルワリード用水路が最終地のガンベリに到達すると同時に開墾を始め試験農場を移します。 約200ヘクタールの農園になる予定です。
1月 マドラサ建設に着工しました。
5月 用水路工事の先端が目標(ガンベリ沙漠)に達しました。自立定着村に着手しました。
6月 ダラエヌール渓谷の涸れ川氾濫により水路が数百m土砂に埋まりました。
8月26日 伊藤和也ワーカーが凶弾に倒れました。
11月5日  最後のワーカー3名が帰国し、中村医師1人が現地に残り事業を指揮します。
12月 既存のカマ取水口の改修に着工しました。2008年事業報告書はこちら»
2009年

2月 取水口が完成しました。最終地点までの全長24.3kmが開通しました。直接灌漑農地が約2,500ヘクタール、更に近隣の取水口の新設及び枯渇した箇所の改修も手掛けたことにより、計14,000ヘクタール(人口約60万)の農地が耕作できるようになりました。
2月8日 マルワリード用水路完工式・マドラサ・モスク譲渡式を催しました。
3月 防砂林の植樹が完了しました。
3月9日 マルワリード用水路、新たに1,3km開通し、総延長25,5km、1日送水量40万トンの用水路を完成しました。
5月11日 マドラサ仮開校式を挙行しました。
7月 クナール河で洪水が発生。
9月 マドラサを開校しました。約600名の学童が通学しています。
10月 既存用水路カマ第二の取水門・堰・主幹水路・沈砂池・送水門と排水門新設工事に着工しました。
12月 既存のカマ第二取水口を改修しました。ベスード郡(カマ群対岸)の3,500mの護岸工事に着工しました。2009年事業報告書はこちら»
2010年

2月 水路全長25,5kmが開通しました。用水路の直接灌漑面積は約3,000ヘクタール、1日の総水量は30~40万トン、廃村が次々と復活しています。マルワリード用水路完工式、マドラサ・モスク譲渡式を行いました。
3月9日 マルワリード用水路を新たに1,3km開通し、総延長25,5km、1日総水量40万トンの用水路を完成しました。
10月 既存用水路カマ第二の取水門・堰・主幹水路・沈砂池・送水門と排水門と排水門新設工事に着工しました。ベスード郡(カマ郡対岸)の3,500mの護岸工事を着工しました。
2011年

3月 カマ第二用水路施設、堰・取水門・主幹水路・沈砂池・送水門と排水門が完成し通水をしています。
4月 モスク・マドラサに併設する寄宿舎が完成し、譲渡式を行いました。
7月 ベスード第一取水口工事を開始しました。
10月 ケシュマンド山系に記録的集中豪雨発生、ジャリババ渓谷からの鉄砲水でマルワリード用水路500m地点が破壊され、対岸カシコート地区に吹きつけた洪水通過橋拡張工事を行い、カシコート地域護岸のため、クナール河道回復工事を開始しました。カシコート長老会との和解が成りました。 ベスード第一取水路、通水試験が成功しました。
12月 ジャリババ洪水通過橋拡張工事が完了しました。植樹63万本を達成しました。
2012年

1月 ベスード郡タプー村に取水口建設を開始しました。
2月 カシコート郡サルバンド村にて、堰・用水路工事開始を宣言しました。
3月 カシコート河道回復工事を終了しました。シギ・サイフォンの着工式(マルワリード用水路末端から、シェイワ群シギ地方下流域へ)シギ長老会・灌漑局鍬入れ式を催しました。タプー村取水口が完成しました。
4月 ベスード第一取水口、ベスード護岸3.5kmの竣工式を催しました。(1年5ヶ月の大工事)カーブル河大洪水が発生しました。
7月 既存のベスード第二取水口付近が洪水の濁流で、主幹水路土手約200mが流失。流域11ヵ村、約700ヘクタールが渇水状態となる。急遽護岸工事を開始しました。東部アフガニスタンで3ヵ月降雨がありません。
9月9日 宿願の用水路25,5km流域の村民を束ね、第一回定例浚渫を実現しました。
10月 カシコート取水施設本工事を開始しました。(PMS・JICA共同事業)。カシコート堰築造は、対岸PMSのマルワリード斜め堰と連結し全長約505mの連続堰となります。
11月 カシコート対岸から砲弾があり、政府軍と武装勢力の交戦中の誤射と判明。カシコート自治会が「PMSの工事中断を企図すれば、カシコート八万家族が敵になる」と異例の保護宣言を発表しました。
12月 アフガン経済省がPMSの活動を表彰しました。マルワリード流域(約3,500ヘクタール)の水利組合が組織されました。
2013年

2月 シギ分水路の第一サイフォン260mが完成し、開通しました。サイフォンに続く2kmの送水路とその間に6つのサイフォン建設を続行しました。
3月 マルワリード・カシコート連続堰、主幹水路2km、護岸4kmを完工しました。これによりクナール河両岸の安定灌漑が保障されました。 洪水の影響を受けたベスード護岸を修復・強化を完了しました。
4月 カシコート堰が竣工しました(PMS-JICA共同事業)。
7月 以後のクナール河増水期、ミラーン既存取水口を含む1,5kmが浸食され、十数ヘクタールが流失しました。9月、カシコート堰が竣工しました。(PMS-JICA共同事業)
10月 ミラーン堰着工(第三期PMS-JICA共同事業)シギ堰着工――昨年の大洪水で取水口から約5km流失しました。中村医師=PMSが、水田・水環境工学会国際賞を受賞しました。
2015年

2月 シギ堰通水が完了し、シギ地域全体の安定灌漑を保障しています。
12日 クナール河流域で渇水。12年間で最低水位を記録し、カマ堰で緊急措置を準備。
ミラーン用水路送水を開始し、1,700ヘクタールの安定灌漑を可能にしました。・アフガン東部で季節外れの大洪水が発生し、23日夜半から24日にかけて突然の土砂降り、 カブール河の水位がベスード第I取水門を30㎝超えました。ジャララバード市内に浸水、また高地で降雪と雪崩頻発し、死者不明者が増加しています。
3月 新シギ堰が竣工しました。シギ全域で小麦の大豊作が実現しました。
27日、28日 ドゥラニ アフガニスタン農村復興開発大臣、アセイ上級補佐官、在アフガニスタン日本大使館より高橋特命全権大使がマルワリード用水路のモデルとなった山田堰(福岡県朝倉市)を訪問・視察しました。
4月18日 同時爆破事件が発生しジャララバードを震撼させました。
7月16日夜半から17日未明 クナール河全域で集中豪雨が発生し、クナール河流域で氾濫が発生、ミラーン護岸堤防天端から20㎝に迫り、地域に不穏な空気が漂いました。
26日 マルワリード用水路全流域で再び集中豪雨が発生。鉄砲水等が発生し約10カ所で浚渫作業を開始、ミラーン堰では、洪水後取水門前の土砂堆積、河道の拡大により異常低水位となり取水が途絶えました。
10月 ミラーン堰(444m)建設本工事が着工しました。堰体内にコンクリート製の土砂吐きを2カ所建設し、3つの砂州を接続する堰となります。カシコート上流サルバンド村流域で渇水、飢饉が迫ります。一時的な改修工事を開始しました。
26日 アフガニスタン北東部バダクシャン州で地震が発生。
11月 ミラーン堰上流の調査を開始
12月9日 ミラーン堰主要河道を開通しました。堰の越流線はPMSが手掛けた中で最長の444m。3つの砂州を安定させるため、剣山状粗朶柵施工を試みました。
2016年

1月 ミラーン堰上流対岸の分流(洪水流入部/2015年7月の洪水で耕地の3分の2の約500ヘクタールが被災)締め切り工事を完了しました。堤防の嵩上げと根固め工を続行しています。 同地区の第二次調査が行われます。PMSは今秋、マルワリード用水路IIとして、カチャラ村から約8,4kmの用水路建設を決定しました。
2月 異常少雨。スピンガル山麓一帯(アチン、ロダット、ソルフロッド等)において土漠化が深刻化しています。ISを名乗る勢力が干ばつ被災地を跋扈しています。
3月 主幹排水路工事を開始し、各村自治会の協力を獲得しました(中小排水路は、2008年秋から造成・整備を続行中であり、約80kmにわたり張り巡らしています)。
中旬 に入り雨季が到来しました。干ばつは今なおアフガン全土で進行中です。PMS方式の取水システムの広域展開を目指し、人材育成のため、ミラーンに訓練所の設立準備を開始しました。
4月 6月初旬並みの洪水が始まりました。
7月26日 パキスタン政府アフガン難民強制送還の動きが見られます。
9月22日 マルワリードⅡ堰建設のため対岸4ヵ村(カチャラ、コーティ、タラーン、ベラ)合同自治会との協議が行われました。
30日 ミラーン堰が完工し、訓練所の建設を開始しました。 帰還難民は約100万~150万人に上り、ナンガラハル州に集中しています。
10月3日 ミラーン堰竣工祝賀会が行われました。訓練所着工式(FAO・PMS共同事業)が行われました。
8日 マルワリードⅡ堰建設を開始しました。パキスタンからの難民送還が継続しています。
11月 5月から現在まで降雨日数が数日のみ。クナール河で異常低水位が続き、東部全体で厳しい干ばつが深刻化しています。
16日 マルワリードⅡ堰建設をナンガラハル州政府が公示しました。
12月初旬 シェイワ郡行政との交渉により、対岸からの堰建設が可能となりました。
2017年

1月初旬 8ヵ月ぶりの降雨です。
27日 マルワリード取水堰の仮工事が完了し、翌日試験送水を行いました。カチャラ分水路の送水を開始しました。
29日 PMS・4ヵ村自治会合同祝賀会が開催されました。
4月13日 ナンガラハル州アチン地区に、米軍による大規模爆風爆弾(MOAB)が投下されました。
14~23日 PMS副院長ジア医師、 デイダール技師、ファヒーム技師一行がJICA・PMS合同会議の為来日しました。
11月 カマⅠ・Ⅱ堰第4次改修開始
2018年

1月 訓練所で授業を開始 PMS取水方式の普及計画の第一歩。
7月 マルワリードⅡベラ延長路(560m)送水開始。これにて、マルワリードⅡ全流域での送水を達成。
9月 マルワリードⅡJICA-PMS共同事業竣工。ベラ村復活!見渡す限りのトウモロコシ畑が出現。10月からはPMS単独事業として本事業を2年間継続。
10月 アフガニスタン全土で大干ばつ再来。34州中20州に食糧危機警報が発せられ、国連機関は餓死線上100万人、アフガン国民の3分の1に相当する900万人~1200万人に影響が出ると警告。詳細は会報138号"緊急干ばつ報告!アフガニスタン、空前の規模の大干ばつ"»にて掲載。短期間の激しい夕立により、マルワリード流域で2度鉄砲水発生。用水路一部寸断。
11月 再び集中豪雨。一回の集中豪雨としては、2003年からのPMSの観測以上最大規模。
12月 マルワリード用水路定期改修開始。
2019年

2月 ガンベリ西部にシギ排水路工事着工。カマⅠ・Ⅱ堰第4次改修完了。PMS方式取水堰の標準設計が確立。
7月 PMS作業地全域で記録的な水稲栽培。
10月 ゴレーク村の第一回予備調査が行われた。
12月 マルワリード堰大改修(4年計画)が開始。
2020年

1月 ガンベリ公園に中村医師記念塔を建設。